飲み屋のお姉さんに入れあげて、銀行から借金をして女に
200万円渡したところ、女が逃げた。
その相談を受けたのは、もう10年ほど昔の話しだったかも
知れない。
時々、茶店で見かけた。
ある日、相談があるということで、午後6時頃、6階建てのだったかの
4階に、少し洒落た店があった。
すでに暗かったので、10月か11月頃のことだったかも知れない。
実は、と男は切り出し、店の子と親しくなり、先方も兄と住んでいるという
住居を教えてもらったので、・・・と、冒頭の話しをする。
もう、戻ってこないだろうと思ったが、続きを聞いた。
でも、まだ景気が冷え込んだという年でもなかったが、男は女を
探したいので、力を貸してほしいという。
力ってったって、何の権力もにぎっている訳でもない。
むしろ、これまでそれを否定してきた訳で。
そんな自分に力もなにも、あるはずはないのだが、
むげに断る訳にもいかず、
できるだけのことはしてみると、男に応えた。