貴重なデータ返して 自然史博物館の調査カメラ3台が盗難被害か
上毛新聞社
2019/06/19 06:00
盗難品と同型のセンサー付きカメラ(丸部分)=県立自然史博物館提供© 上毛新聞社 盗難品と同型のセンサー付きカメラ(丸部分)=県立自然史博物館提供
群馬県立自然史博物館(富岡市、宮川豊館長)が、県立みかぼ森林公園(藤岡市上日野)に設置している野生動物の生態調査用カメラ3台が盗難被害に遭っていたことが18日、関係者への取材で分かった。5年以上にわたって定点観測を続けており、カメラには半年分の撮影データが蓄積。担当者は「データだけでも返してほしい」と憤りを隠さない。同館から同日に被害相談を受けた藤岡署は周辺のパトロールを強化する方針だ。
◎継続的に収集することが大切なデータだけでも
同館によると、被害に遭ったのは、ほ乳類の生態を調査するために使うセンサー付きカメラ。動物がセンサーに近づくとカメラが起動して静止画を撮影する。公園内の森林に設置していた10台のうち3台が盗まれていた。価格は1台数万円という。
いずれも獣道などの脇の木に結束バンドで固定した上で、盗難防止のためワイヤを結んで錠をかけてあったが、ワイヤごとなくなっていた。
13日に職員がカメラの電池交換と、記録してある撮影データを回収するために公園に出向き、盗難被害に気付いた。電池交換とデータの回収は半年ごとに行っており、昨年11月に確認したときは問題がなかったという。
同公園は御荷鉾山系の標高1200~1500メートルに位置し、255ヘクタールの敷地に登山道や展望台、管理棟などが整備されている。県が藤岡市内の会社に管理を委託。昨年度までは管理人が常駐していたが、本年度からは週3日の体制になっている。
カメラは5年以上前から同じ地点に設置し、地域に生息する動物の基礎データを継続的に収集していた。担当者は「調査には継続したデータが大切。カメラ自体も損失だが、データを失ったことが痛手。データだけでも返してもらいたい」と訴えている。
同署は近くの駐在所などと盗難情報を共有するほか、周辺でのパトロールを強化するという。