4月に史上最年少で囲碁棋士となった仲邑菫(なかむらすみれ)初段(10)が28日、日本棋院関西総本部に所属する若手棋士16人による非公式戦「第2回若竹杯」(日本棋院主催、竹村肇氏協賛)でプロ入り2戦目の対局に臨んだ。対戦相手は1回戦で同じ女性棋士の種村小百合二段(37)。仲邑初段はプロ棋戦で初勝利を挙げ、ベスト8に進出した。
会場は大阪市北区の同総本部が入るビル13階の貸し会議室。対局では、身長126センチと小柄な仲邑初段のためにイスの下に高さ約10センチの台が設置された。同じ部屋では1回戦の別の対局が7局あり、仲邑初段は手番を決めるニギリの結果、黒番に決まって少考した後、右上星に第1着を打ち下ろした。
対局は緊張感漂う雰囲気の中、仲邑初段は真剣な表情で打ち進めた。序盤の布石でリードを奪うと、中盤は種村二段の複数の弱い白石に対して攻勢に立ち、その一部を取り込む形で左上に大きな地を囲って勝勢を築く。正午前に種村二段が投了し、仲邑初段の中押し勝ちとなった。今回は非公式戦のため、プロ最年少の勝利記録にはならず、通算勝利記録にもカウントされない。
対局後に記者控室で行われた囲み取材で、仲邑初段は「序盤からうまく打てた。あまり緊張しなかった。勝ててうれしい」とはにかみながら初勝利を振り返った。種村二段は「対戦相手を意識しないようにしたが、私の碁の内容が悪すぎた。仲邑さんは隙がなくて強かった」と話した。
午後には、初対局の相手だった大森らん初段(16)を1回戦で破った、父親の仲邑信也九段(46)門下の兄弟子、村松大樹(ひろき)六段(30)と4強入りを目指して激突する。仲邑初段は「次も勝てるように頑張ります」と意気込みを話した。
この日集まった報道陣は15社約40人。個人で協賛する竹村氏は開会のあいさつで「昨年は細々と開催したが、今年は注目を集めているので賞金と対局料を倍増します」と宣言し、優勝賞金が当初の10万円から20万円に倍増された。(高宮正尚)