兵庫県尼崎市で2015年3月、自転車に乗っていた高校1年の男子生徒、山内美輝(よしき)さん(当時16歳)が、オートバイで並走した当時16歳の元少年(20)に押されるなどして踏切に入り、電車にはねられ死亡した事件で、山内さんの両親が元少年と母親に損害賠償を求めた訴訟が、神戸地裁尼崎支部(田中健治裁判長)で和解した。23日付。
山内さんの両親の代理人弁護士によると、元少年と母親が37年間かけて分割で計約5200万円を支払うほか、元少年が毎年の山内さんの命日に事故現場で花を供えて冥福を祈り、遺族に手紙を書いて送るという内容。母親は元少年に対する監督が不十分だったとして、山内さんの両親に謝罪の言葉を口にしたという。
山内さんの母千恵子さん(56)は「和解しても息子は帰ってこないが、(元少年側が)今回決めた約束を守り、一生罪と向き合ってほしい」と話した。
元少年は傷害致死罪などに問われ、神戸地裁で16年、懲役4~6年の不定期刑が言い渡され、現在服役している。確定判決などによると、元少年は無免許でバイクに乗り、山内さんの乗る自転車を並走しながら足で押し、時速49キロ前後で走行。途中で押すのをやめたが、山内さんは止まれず、電車と衝突して死亡した。【近藤諭】