三重県鈴鹿市の建物で3月16日、男に連れ去られた猫が、世話をしていた女性によって保護された。見つかったのは、窃盗容疑で逮捕された男の家の近く。女性がチラシを配って捜していたところ、周辺住民から目撃情報が寄せられ、保護につながった。
連れ去られたのは生後8カ月ほどの雄の「はと」。元々は捨て猫で、鈴鹿市の建物で女性の世話を受けながら他の猫たちとともに暮らしていたが、3月16日にひもを首に巻いて連れ去られる姿が防犯カメラに映っていた。女性の届けを受けた県警鈴鹿署が4月1日、同県桑名市の無職の男を窃盗容疑で逮捕したが、はとは見つからなかった。
女性は、男が調べに「懐かないので近くの川に捨てた」などと話していることを報道で知り、男の住所周辺を捜すことを決意。3日から、はとの写真を載せたチラシを配りながら歩いた。長い日は4時間も。その結果、川の堤防道路周辺でよく似た猫の目撃情報が複数あることが分かった。さらに、近くで猫の餌やりをしている男性から「最近、家に来る猫のようだ」と連絡があった。そして7日、餌を食べに来た猫の写真が送られてきて、猫がはとだと確認、迎えに行った。
はとは最初、人の姿を見て逃げるほど警戒していたが、女性が猫の鳴きまねをすると物陰から返事をした。さらに好物の餌を見せると近寄ってきたため、かごに入れて自宅に連れ帰ったという。
女性の家で生活することになったはと。現在は先住猫に遠慮して部屋の隅に隠れているが、時々出てきて鳴き声を上げている。餌をもらっていたおかげで、健康状態に問題は無いようだ。
女性は「見つかった場所は通行量も多い。行き場所も無く、おびえていたのでは。男性のおかげで再会できた。感謝します」と話していた。【森田采花】