京都府内の定置網漁で今年の漁獲高が消費者に人気の魚の不漁などがあり、この5年で最低になっている。昨年の台風被害による高額な網の修理費などで二重の悩みを抱えている漁業者もおり、関係者は今後の回復を祈っている。
府漁業協同組合によると、府内の沿岸約100カ所で定置網漁が行われ、全体の漁獲高の半分超を占める。今年9月までは11億600万円。同期比で2017年は15億6900万円、16年は16億6400万円、15年は13億4700万円、14年は17億2100万円と6億~2億円下回っている。
不調の背景には冬のサワラやブリ、夏のアジなど高値がつきやすい魚が少なく「旬な魚が旬に取れていない」(総務課)現状がある。今夏は台風が相次ぎ、海から網を避難させることが多かったことも影響している。
漁業者の苦しい状況は昨年10月の台風21号から続く。舞鶴、宮津、京丹後市、伊根町の大型定置網では破損や流出で4億5500万円の被害があり、府水産課は修理費などを返済しながら操業を続けている漁業者も多いという。
舞鶴市田井の水産会社・田井水産によると、同社では2カ所の定置網が被害を受け、府や市の補助などはあったが約2千万円の自己負担が生じた。今年の8月末までの漁獲高は昨年と比べ1500万円ほど少ないといい、丸山好社長(71)は「本来はハマチなどが取れる季節だが不調で良くなる兆しもない。台風が相次ぎ半月ほど漁ができなかった時期もあり苦しい状況が続いている」とこぼす。
府漁協は「自然が相手なのでどうしようもない部分はあるが、サワラやブリなど秋、冬は漁獲の量も金額も増えるので何とか豊漁を期待したい」としている。