[Engaget US版より(原文へ)]
2008年に地球に落下した隕石の破片を調べていた研究者たちは、その起源が、すでに存在しない水星サイズの惑星にあることを示唆する証拠を発見しました。隕石の構成(含まれている成分とその割合)を見ると、通常は、それがたとえば月から来たのか、火星から来たのか、といった起源がわかるものですが、2008年に回収されたその隕石を含む一部の隕石は起源がわかっていません。すでに破壊され、太陽系から姿を消した天体からのものだと推測されます。「これらのサンプルは、もう私たちには行くことのできない所から来ています」と、このプロジェクトの研究者Farhang Nabieiは、ワシントンポストに語っています。
この隕石の歴史をより詳しく知るために、研究者たちは透過電子顕微鏡法を使い成分を調べたところ、隕石に含まれるダイヤモンドの中に、クロム鉄鉱、リン酸塩、鉄-ニッケル硫化物が封じ込められていることがわかりました。そこから、そのダイヤモンドがどのように生成されたかも推測できるようになりました。その研究結果は、Nature Communicationsに掲載されています。
ダイヤモンドは、この種の隕石にはよく含まれていますが、通常は非常に微小なものです。研究者によると、そうしたダイヤモンドが作られる理由は大きく分けて3つあると言います。大規模な衝突によるもの、化学気相堆積によるもの、そして、地球で作られるダイヤモンドと同じ、長期間の高温高圧によるものです。その問題の隕石に含まれているダイヤモンドのサイズは、他の隕石のものよりも大きく、最初の2つの理由は当てはまりません。つまり、大きな天体内の高い圧力によって作られたものとなります。さらに、その中に発見された析出金属から、少なくとも水星サイズ、あるいは火星ほどもある大きな若い惑星で生成されたと研究者たちは考えています。
このような例から、太陽系ができて間もない頃には、いくつもの原始惑星が存在し、それらが降着や衝突を起こして、今ある地球型惑星やその衛星が作られたことが予測されています。あのダイヤモンドを生み出した「失われた」惑星に何が起きたのかは、今では知るよしもありませんが、恐らく、数百万年前に衝突を起こして破壊されたのでしょう。しかし、それも私たちの歴史の一部です。「それは、どのようにして私たちが生まれたのかを示す物語の一部なのです」とNabieiは話しています。
編集部が日本向けに翻訳・編集したものです。
原文著者:Mallory Locklear