レジ袋やペットボトル、発泡スチロールなど、使い捨ての容器や包装用として広く使われている石油由来のプラスチックが海に流出、世界的な海洋汚染を引き起こしている。
◆被害に遭う生き物たち
「プラスチックの直接的な被害に遭っているのは、海洋生物や鳥たちです」とグリーンピース・ジャパンの海洋生態系担当、小松原和恵氏は語る。
「プラスチックを食べてしまって内臓がつまり、死んでしまったクジラや鳥も発見されています。9割の海鳥がプラスチックを食べたことがある、または内臓に蓄積しているとする研究結果や、3匹に1匹のウミガメが海のプラスチックを食べたことがあるというクイーンズ大学の調査もあります」
◆プラスチック使用禁止を決めた国々
このように生き物に被害を与えているレジ袋やペットボトルに対して、日本では石油由来のプラスチック規制は行われていないが、世界では使用禁止を決めた国も数多い。国際環境NGO「グリーンピース・ジャパン」の広報担当、土屋亜紀子氏に各国の状況を聞いた。
「例えば、米国サンフランシスコ市は’07年にプラスチックのレジ袋を、’14年にはプラスチックボトルを市の施設内で使うことを禁止。さらに’16年には、食料品のパックとして使われているスチロールを強制的に禁止しました。ホノルルやロサンゼルス、ポートランドなど、米国では自治体単位で規制が進んでいます。さらに米国では’15年に化粧品へのマイクロビーズの配合を禁止する法律が成立。そのほか国単位で規制しているのは、フランス、エチオピア、モロッコなど。徹底しているのはインドのカタルナーカ州です。’16年に、プラスチックを完全に禁止、厳しく取り締まっています。州都バンガロールでは、規制を始めて4か月で、3万9000kgもの違法なプラスチックが押収されました」
土屋氏が挙げた例はほんの一部で、世界では急速にプラスチック使用の規制が進んでいるという。規制のない日本で、我々ができることはあるのだろうか?
「マイバッグやマイボトルを持って買い物をするなど、不要なプラスチックを拒否していくことが大事です。レジ袋、コーヒーの紙コップについているプラスチック製の蓋やマドラー、ストローやスプーンなど、不要なことも多いですよね。そうした小さな削減を積み重ねていくことが、汚染を減らすために大きな効果となると思います」
取材・文/北村土龍(本誌) 写真/高田秀重