種をまくゴキブリ=植物と共生、森林で発見-熊本大
時事通信
8 時間前
29.08.26.
森林にすむゴキブリが植物と共生し、種を運ぶのに一役買っていることを、熊本大の杉浦直人准教授と大学院生の上原康弘さんが発見した。杉浦准教授は「植物のパートナーとして繁殖に役立っていることを知れば、不快な害虫として名高いゴキブリの見方も変わるのでは」と話している。
この植物は、菌類から栄養を供給されて生きるツツジ科のギンリョウソウ。高さ約15センチで、全国の森林で見られる。毎年5~6月に約1センチの果肉がある実をつけるが、種子が散布される過程は分かっていなかった。
杉浦准教授らは熊本市内の大学近くの林にカメラを設置し、肉眼と合わせ約2年間で200時間にわたり、ギンリョウソウを観察。鳥やネズミなどは実に興味を示さなかったが、関東以西の森林に生息するモリチャバネゴキブリが頻繁に果肉を食べていることを発見した。
ふんからは長さ約0.3ミリの種子が見つかり、ギンリョウソウが果肉を提供する代わりに、モリチャバネゴキブリが食べた種を散布する「相利共生関係」にあることを突き止めた。飛ぶことができる昆虫が、植物の種子を散布するケースが確認されたのは初という。
ギンリョウソウの実の成熟期は、モリチャバネゴキブリが羽化する時期と一致する。杉浦准教授は「種子を散布してもらえるように、進化してきたのでは」と話している。
(了)