相模原市:樹齢100年のヒノキ2万6000本消える
毎日新聞
21 時間前
29.06.29.
相模原市が管理する中野財産区(旧津久井町)で、1953年に中野地区の11人が立ち木として所有権登記し、現存するはずの樹齢約100年のヒノキ2万6821本が実在しないことが分かった。法務局職員が現地で確認した上での登記とされていたが、今年2月に担当の市職員3人が立ち木の登記された地番で樹齢約100年のヒノキを探したが一本もなかった。誰がいつ処分したのか全く不明という奇妙な話だが、市は「無いものは無い」として、抹消登記の手続きを進めている。
中野財産区は、旧津久井町に合併した旧中野村にある通称「中野山」(広さ約40ヘクタール)の森林資源を地元住民が利用する入会地。かつて旧中野村が生活用水とした大沢川の源流域となっている。
樹齢98年未満のヒノキしかない中野山の大沢川源流域(神奈川県相模原市)のヒノキ林=2017年6月、高橋和夫撮影© 毎日新聞 樹齢98年未満のヒノキしかない中野山の大沢川源流域(神奈川県相模原市)のヒノキ林…
登記簿では53年に土地の分筆が行われ、11人が個人名で樹齢34年のヒノキ2万6821本を所有権登記した。植林の密度にもよるが、現存すれば樹齢98年となる計算で、一般的に胸高で直径約60センチにまで成長し、建築材として利用価値が高い。
旧津久井町は2008年に相模原市と合併。財産区の森は相模川水系の水源地として、県と財産区を管理する市が09年までに水源林整備協定を結んだ。財産区には県から借地代として年間約97万円が支払われている。
立ち木を個人名義で所有権登記した11人に対して「借地代の一部が支払われるべきではないのか」という地元住民からの問い合わせで、市職員3人が今年2月に立ち木が登記された地番の現地を調査した。しかし、大沢川源流域に胸高で直径60センチ程度のヒノキが何本かあったものの、ここ1、2年の間に伐採されたとみられる近くにあるヒノキの切り株の年輪はどれも98年未満で、登記された地番のどこにも樹齢100年のヒノキの存在は確認できなかったという。
樹齢100年のヒノキが一本も現存しないことについて、市側は「誰も知る人がいない」としている。謎は深まるばかりだ。【高橋和夫】