相模原殺傷:当直職員5人縛る 容疑者、計画性裏付けか
毎日新聞
1時間前
28.07.28.
19人が死亡した相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」の殺傷事件で、植松聖(さとし)容疑者(26)=殺人容疑で送検=が通ったエリアを担当していた6人の当直職員のうち5人が結束バンドで手すりなどに縛りつけられていたことが同園関係者らへの取材で分かった。残る1人は凶行のさなかに施設内で身を潜め、スマートフォンの無料通信アプリ「LINE(ライン)」を使って非番の同僚に助けを求めていた。植松容疑者が大量殺人を実行するため計画的に多数の当直職員を拘束したとみられる。
植松容疑者の移動経路© 毎日新聞 植松容疑者の移動経路
神奈川県警や同園関係者によると、植松容疑者は26日午前2時ごろ、東側居住棟1階の個室の窓ガラスを割って施設内に侵入。次々に刃物で入所者を刺し、西側居住棟1階、同2階を通って西側管理棟2階から2時50分ごろ逃走したとみられる。侵入から約50分の間に26人のけが人を含めて45人が襲われたことになる。施設内の防犯カメラには、植松容疑者が2時15分ごろ東側居住棟1階を移動する様子と、2時45分ごろ西側管理棟2階正面玄関近くにいる様子が映っていた。
当日の施設の当直職員は8人。東西の居住棟の1、2階に2人ずつが配置され、支援員室に詰めていた。植松容疑者は東側居住棟2階を除いたエリアを移動したとみられ、通ったエリアには計6人の職員がいた。このうち、東側居住棟1階の女性2人▽西側居住棟1階の男性2人▽同2階の男性1人−−が縛られたという。女性2人は後頭部と顔を殴られたという。
拘束を免れた男性の当直職員1人は、施設内で隠れながら、ラインを使って非番の同僚に「すぐきて、やばい」と助けを求めていた。同僚が、助けを求めた当直職員に電話をすると、この職員は小声で「大変なことが起きている」と伝え、電話を切った。同僚はすぐに110番した。2時38分で、事件で最初の通報だった。
通報を受け、県警津久井署は事態を確認するため施設に電話をかけたが、応答がなく、パトカーを現場に出動させた。2時45分に別の当直職員が「ナイフを持った男が施設に来て人が刺された」と110番し、同署は捜査車両を追加して現場に向かわせた。署員が到着した時、植松容疑者は敷地内におらず、午前3時ごろに同署に出頭した。【福永方人、水戸健一】