原節子さん死去:「前日まで意識はっきり…騒がないでと」
毎日新聞
27.11.26.
7 時間前
小津安二郎監督の「麦秋」「東京物語」、成瀬巳喜男監督の「めし」など名作映画に数多く出演し、神秘的な美しさと気高さで日本を代表する女優として活躍した原節子(はら・せつこ、本名・会田昌江=あいだ・まさえ)さんが、9月5日肺炎のため死去していたことが25日分かった。95歳。
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神奈川県鎌倉市の原さんの自宅には多くの報道陣が詰めかけた。インターホンを通して取材に応じたおいの熊谷久昭さん(75)は、心境を問われると「95歳ですからね……。でも亡くなる前日まで意識ははっきりしていました」と名残惜しそうに語った。8月中旬まで熊谷さん方の敷地内にある別宅に住んでいたが、容体が急変して横浜市内の病院に入院し、9月5日に亡くなったという。また、3カ月間公表しなかったことについて、熊谷さんは「『騒がないようにしてくれ』と本人に頼まれていた」と説明した。葬儀は済ませ、東京都内に埋葬したという。【因幡健悦】
◇映画監督の山田洋次さんの話
原節子さんが亡くなったなどという知らせを聞きたくありません。原節子さんは美しいままに永遠に生きている人です。半分は神様と思って手を合わせます。
◇映画評論家の佐藤忠男・日本映画大学長の話
純情かれんで戦前からずば抜けた人気を集め、小津安二郎ら巨匠の作品に多く出演した。1960年代初めまでの日本映画の黄金期を代表する存在。品良く真面目な役が多く、演技が硬いとも言われ続けたが、いるだけで日本女性の理想像として敬愛された。戦後民主主義のリーダーやドストエフスキー作品といった、時代の先端をゆく難しい役も多かった。ファンにこびる必要がまったくない女優だった。