ブルガリア:ロシア機領空通過を拒否 シリア政権支援疑い
毎日新聞
27.09.09.
5 時間前
【モスクワ杉尾直哉】ブルガリア外務省は8日、シリアに向かうロシア軍輸送機の領空通過を拒否したことを明らかにした。ロイター通信が伝えた。「貨物について懸念すべき十分な情報があるため」という。シリアのアサド政権に対するロシアの支援強化を懸念する米国の要請を受けた措置とみられる。ギリシャ外務省によると、米国はギリシャにも同様の要請をしている。
米露は、過激派組織「イスラム国」(IS)の勢力拡大を受けてシリア問題での協力を模索してきたが、今回の措置でロシア側が態度を硬化させる可能性がある。
タス通信によると、露下院のレビチェフ副議長は、ブルガリアの決定を「非友好的措置」と批判し、「我々は十分な対抗策を取ることができる」と述べた。ペスコフ露大統領報道官は、ブルガリア側に説明を求めていることを明らかにした。
© 毎日新聞
米国は、強権的なアサド政権の崩壊を狙って反体制派武装勢力を支援してきた。これに対し、ロシアのプーチン政権は武装勢力を「テロ組織」とみなし、アサド政権を主軸とした秩序回復を訴えている。
ロシア通信によると、ギリシャ外務省は7日、ロシアのシリア向け人道支援物資輸送機の領空通過を拒否するよう米政府から要請されたことを明らかにした。要請は5日に受けたという。
ブルガリアから領空通過を拒否されたため、ロシアは輸送機2機をイラン経由で送る計画だという。その場合はギリシャ領空を飛行する必要もなくなるため、ロシア側が事を荒立てずに物資輸送を進める可能性もある。
プーチン大統領は4日、ISに対する軍事介入について「まだ検討していない」と述べる一方、「ロシアは(アサド政権との)契約に基づき、シリア軍に武器や技術を提供している」と述べていた。ペスコフ報道官は7日、ロシアがシリア支援を強化しているかどうかについて「答えられない」と述べた。こうした発言が、「ロシアがシリアへの本格的軍事介入を検討するのではないか」との臆測を広げている。