【アジア大会】
吉田、初戦で大苦戦も前人未踏のV4達成
2014.9.28 22:17 (1/2ページ)[レスリング]
仁川アジア大会のレスリング女子55キロ級で、モンゴルのブヤムバトセレン・サンデフ(右)を破り4連覇を果たした吉田沙保里=28日、韓国・仁川(共同)
最後は、自信を持って飛び込んだ両足タックルで相手をなぎ倒した。数々の栄光を築いた55キロ級で4連覇を決めるテクニカルフォール勝ち。「本当にうれしい」と笑った吉田はマット上でバック宙を披露し、観客を大いにわかせた。
「苦しい試合を乗り越えられた」。こう振り返った絶対女王は、この日の初戦でフォール寸前に追い込まれた。今春のアジア選手権女王の鍾雪純に第1ピリオドに投げられ、背中をマットにつけられそうになった。
「これで終わったかな」。敗戦を覚悟するほどの危機だった。懸命のブリッジで必死にフォールを逃れたが、いきなりの4点ビハインド。激しい攻防となった第2ピリオドも残り1分を切ってもまだ劣勢だった。逆転したのは終了まで残り約40秒。肝を冷やした。
吉田、初戦で大苦戦も前人未踏のV4達成
2014.9.28 22:17 (2/2ページ)[レスリング]
仁川アジア大会のレスリング女子55キロ級で、モンゴルのブヤムバトセレン・サンデフ(右)を破り4連覇を果たした吉田沙保里=28日、韓国・仁川(共同)
五輪3連覇と合わせて世界大会15連覇を果たした約2週間前の世界選手権を五輪階級となった53キロで戦い、55キロ級で実施された今大会に向けて体を作り直した。
新階級に慣れた体重は52キロ台からなかなか増えず、前日の計量でも53・8キロ。「もともと小食」と明かした31歳には厳しい調整だった。支えたのは「絶対に勝ちたい」という強い気持ちだった。
折れない強さでリオデジャネイロ五輪まで無敗のまま突っ走る。3月に急逝した父、栄勝さんとの約束でもある。男女を通じてレスリング史上初という4連覇の快挙も、文字通りに通過点でしかない。(田中充)