【浪速風】
電卓50年に見る「ものづくり」の底力(3月20日)
2014.3.20 12:27 [westセレクト]
シャープが電卓発表50年を記念して売り出す新商品のデザイン候補の一部。投票で選ぶキャンペーンを行う
幅42センチ、奥行き44センチ、高さ25センチ、重さは25キロもあった。昭和39(1964)年3月にシャープが発売した世界初の電卓である。53万5千円は車が買えるほどの値段だった。今ではポケットに入るカードサイズになり、100円ショップでも買える。これほど技術の進歩、時の流れを感じさせる製品はない。
▼創業者の早川徳次が発明したシャープペンシルをはじめ、シャープが世に送り出した「世界初」「日本初」は多い。電卓はその代表である。開発チームには経営陣から注文がついた。「価格を50万円以下に」。当時、企業が機器類を購入する場合、50万円までは部長が決裁できたからだ。
▼加えて「八百屋さんがそろばん代わりに使えるものを」。結局、50万円は切れなかったが「1割引で目標達成」。最初から値引きを考慮しているのが大阪の会社らしい。韓国、中国などとの競争に苦戦しているが、無理難題に応えた技術力があれば、ものづくりニッポンは復活できる。
シャープ、電卓のデザインを投票で選出 世界初の電卓発表から50年