誰がみてもクーデターなど考えていないことはわかる。
現在、国の経済事態と人民生活の破局が広がっており、人民の生活の向上のための施策を試みた。
張氏の態度が横柄になり、ライバルがちくったのかもしれない。本当に愚かな国だ。
張氏、処刑直前に拷問か 遺体に機関銃銃弾90発、「火炎放射器」で焼却観測も
2013.12.14 13:46
12日、手錠をかけられて法廷に連行された前国防副委員長の張成沢氏(中央)。朝鮮労働党機関紙「労働新聞」に13日掲載され、韓国の聯合ニュースが配信した(ロイター)
12日、手錠をかけられて法廷に連行された前国防副委員長の張成沢氏(中央)。朝鮮労働党機関紙「労働新聞」に13日掲載され、韓国の聯合ニュースが配信した(ロイター)
北朝鮮の張成沢元国防副委員長が12日に処刑される直前に特別軍事裁判へ連行される場面として北朝鮮が公表した写真で、張氏の顔や手の甲が腫れ上がっているように見えることから、張氏が拷問を受けたとの見方が出ている。14日付の韓国紙、京郷新聞などが報じた。
一方、朝鮮日報は、張氏の処刑後、遺体は火炎放射器で焼かれた可能性もあるとの観測が出ていると伝えた。北朝鮮メディアが伝えた張氏の判決文に、「最高司令官の命令に従わない者らは死んでもこの地に埋葬する場所などない」との記述があることが根拠だとしている。
同紙は、張氏には機関銃の銃弾が90発以上撃ち込まれ、遺体は原形をとどめないほど損傷したとの消息筋の話も紹介。一方で韓国政府関係者はこうした話を疑問視しているとも説明した。(共同)
【水内茂幸の外交コンフィデンシャル】
張氏処刑 恐怖の「労働新聞」書きっぷり
2013.12.14 07:00 (1/6ページ)[水内茂幸の外交コンフィデンシャル]
北朝鮮の朝鮮労働党機関紙「労働新聞」の電子版に掲載された、兵士とみられる男性2人に支えられるようにして立つ張成沢氏の写真(手錠の部分をモザイク処理しています)
手錠姿で屈強な兵士2人に抱えられ、顔と左手には拷問とみられる痛々しいアザ…。北朝鮮の張成沢前国防委員長の法廷写真には背筋が凍った。直後の処刑は、体が粉砕される機関銃で行われた可能性が高いという。一体北朝鮮で今何が起きているのか。朝鮮労働党の機関紙「労働新聞」を丹念に読み解くと、権力基盤が固まりきらない金正恩第一書記の孤高の姿がみえてくる。
「素人みたいな言い方で恐縮ですが、これを読んだら日本に生まれてよかったと思いますよ」
外務省で北朝鮮政策の実務を担う中堅官僚は、東京・新橋の小ぢんまりした焼き鳥屋の個室で、今月4日付の労働新聞「革命的信念は命より貴重」と題する論説の日本語訳をみせてくれた。4日後に党と政府のすべての役職を解任される張氏を念頭に、「裏切り者ほど汚れた者はいない」と断じ、粛清劇の始まりを告げたものだ。
論説では金正日元総書記の教えをひもときながら、「領袖への絶対的信頼が体質化しているかが問題だ」と指摘する。
張氏処刑 恐怖の「労働新聞」書きっぷり
2013.12.14 07:00 (2/6ページ)[水内茂幸の外交コンフィデンシャル]
北朝鮮の朝鮮労働党機関紙「労働新聞」の電子版に掲載された、兵士とみられる男性2人に支えられるようにして立つ張成沢氏の写真(手錠の部分をモザイク処理しています)
「偉大な将軍は『どれほど長く党に忠実であっても、今日一瞬でも党に忠実でなければ忠臣とはなれない。一瞬でも別のことを考えたり、別の道を歩む者は、心が汚れ、病んだ人間で歴史に捨てられる。99%の忠臣などありえず、ひたすら100%だけがあるのみだ」
100%の忠臣-。水内は冷や酒をあおりながら、不謹慎と思いつつも妻を思い出してしまった。「ひたすら100%の忠臣」が生死を分けるのなら、水内も銃殺刑に処されるかもしれないな。
論説は「信念から脱線すれば、誰であれ革命の原則が絶対に許さない」とも記し、金氏の叔父で政権の実質ナンバー2ともいわれた張氏といえども許さない姿勢を鮮明にした。「誰もが生涯を後悔せずに暮らすことを望むが、領袖に対する絶対的な信念を持つことができず、難関に勝てずに信念を捨てるとき、変節というドブに落ちる」とも。
張氏は北で経済再建を一手に引き受け、穏やかな経済開放に導こうとする中国と太いパイプを築いてきた。金氏はスイスへの留学経験を持ち、平成3年には偽造旅券で訪日し、東京ディズニーランドを訪れたこともある。北の経済改革で何をしなければならないか、張氏の役割を含め、骨身に染みてわかっているはずではないのか。
張氏処刑 恐怖の「労働新聞」書きっぷり
2013.12.14 07:00 (3/6ページ)[水内茂幸の外交コンフィデンシャル]
北朝鮮の朝鮮労働党機関紙「労働新聞」の電子版に掲載された、兵士とみられる男性2人に支えられるようにして立つ張成沢氏の写真(手錠の部分をモザイク処理しています)
外務官僚氏が、ササミの梅肉あえをつまみながら解説を始める。
「中国は北の核・ミサイル開発に怒り金融制裁に乗り出したが、重油の供給停止など真に息の根が止まる措置に乗り出した気配はない。最近は平壌市内をタクシーが走り回り、携帯電話の加入者は200万人を超えたとの報道もある。経済はそんなに息詰まっていませんよ」
ならば一層、張氏粛清は流れに逆行しているようにみえるのだが…。外務官僚氏はタブレットを取り出し、金氏が今秋、軍の演習を視察する写真を複数示した。
「どの写真も金正恩は笑顔でしょ。軍との距離を縮めたいとの思いがにじみ出てますよ。逆にいえば、父から権力を継承して2年がたった今でも、国内の権力基盤が確立していないという証ですよね。外の空気を知る30歳の若き独裁者が、こんな笑顔を作るのはかなり無理していると思うのですが」
金氏は写真で、拍手する軍人の肩を抱いたり指を指したりして、とびきりの笑顔をみせている。確かに軍との親密さを伝えようとする意図が伝わってくる。
張氏処刑 恐怖の「労働新聞」書きっぷり
2013.12.14 07:00 (4/6ページ)[水内茂幸の外交コンフィデンシャル]
北朝鮮の朝鮮労働党機関紙「労働新聞」の電子版に掲載された、兵士とみられる男性2人に支えられるようにして立つ張成沢氏の写真(手錠の部分をモザイク処理しています)
父の正日氏はすべてにおいて軍事を最優先する「先軍政治」体制を敷き、恐怖政治と引き換えに金王朝体制を盤石なものとした。父の急逝で指導者としての助走期間がなかった正恩氏は、父と同じ恐怖政治に頼らざるを得ないのだろうか。
「よく張氏失脚で『指導部の若返り加速』とマスコミが指摘しますが、軍の影響力が強まるという点が重要だ。日本には決していいことではありませんが」
外務官僚氏は芋焼酎の水割りをあおり、ほっとため息をつく。
「軍が強いということは、核実験の再開やミサイル発射など、強硬的な態度を強める可能性が高いということだ。中国はこの半年間、北の核・ミサイルをめぐる6カ国協議を再開させるため、担当の武大偉大使が北や米国を飛び回っていたが、この流れにもブレーキがかかりかねない。日本人拉致事件の解決を考えても、いい流れではない」
11月6日、平壌で張氏と会談した日本体育大の松浪健四郎理事長は、日本に好意的な印象を持っていると強く感じたという。
張氏処刑 恐怖の「労働新聞」書きっぷり
2013.12.14 07:00 (5/6ページ)[水内茂幸の外交コンフィデンシャル]
北朝鮮の朝鮮労働党機関紙「労働新聞」の電子版に掲載された、兵士とみられる男性2人に支えられるようにして立つ張成沢氏の写真(手錠の部分をモザイク処理しています)
「張さんは対面するなり『東京五輪おめでとう』と握手してきた。昨年から張氏を通じ、北朝鮮の国際オリンピック(IOC)委員が東京開催に協力するようお願いしてきただけに、『東京に一票入れてくれた』と強く感じた」
張氏は帰り際、「来年も会おう」と笑顔を向けてきたという。まさかその1カ月後、機関銃で体をバラバラにされるとは…。
13日の朝鮮中央放送によれば、張氏は処刑直前の特別軍事裁判で、「私は軍隊と人民に、現在、国の経済事態と人民生活の破局が広がっているにもかかわらず、現政権が何の対策も講じることができないという不満を抱かせようと試みた」と「クーデター」の動機を語ったという。張氏の言葉は、図らずも的確に北の実情をあぶりだしてはいないだろうか。
張氏が中国との共同開発に奔走した「羅先(ラソン)経済特区」周辺などで、張氏を支持する声も多いという。平壌は裕福になったといえ、都市と地方、官民の貧富の差は拡大し、指導部への不満が底辺にたまり続ける北朝鮮。体制崩壊の足音は少しずつ大きくなっている。
張氏処刑 恐怖の「労働新聞」書きっぷり
2013.12.14 07:00 (6/6ページ)[水内茂幸の外交コンフィデンシャル]
北朝鮮の朝鮮労働党機関紙「労働新聞」の電子版に掲載された、兵士とみられる男性2人に支えられるようにして立つ張成沢氏の写真(手錠の部分をモザイク処理しています)
外務官僚氏を張氏の処刑後に再訪すると、「死刑執行を伝える北メディアは、リスクを冒しても『クーデター』という言葉を使い、張氏の殲滅(せんめつ)を宣言せざるを得なかったのだろう」と渋い表情を浮かべた。
張氏を処刑した12日付「労働新聞」にはこんな記述がある。
「全世界が見ている前で厳しく断固たる鉄槌(てっつい)を下したわが党の決断にすべての軍隊と人民が痛快感を抱いており、わが党が再び純潔なものになったという興奮で胸を熱くしている。われわれの眼光はますます明るくなり、心は軽くなった」
この論説のタイトルは「元帥に従い、天と地の果てまで」。処刑直前の同紙には、「張氏を溶鉄炉にたたき込んで地上から体を消し去りたい」などと憤慨する市民の声もあった。
「100%の忠臣」にはなれないが、読み進めながら、今夜は妻にケーキを買って帰ろうとの思いを強くした。日本に生まれたことを感謝しつつ。
張氏、処刑直前に拷問か 遺体に機関銃銃弾90発、「火炎放射器」で焼却観測も