【ボクシング】
前代未聞の茶番劇 「負けても大毅は王者」知らなかったのは客と報道陣だけ
2013.12.4 21:20 [westスポーツ]
亀田大毅の「防衛」について、IBFのミーティング資料を手に話す嶋聡マネージャー=大阪市(中島信生撮影)
前代未聞の「茶番」に、開いた口がふさがらなかった。3日に行われた国際ボクシング連盟(IBF)スーパーフライ級タイトルマッチ。判定で敗れ、王座陥落したはずの亀田大毅(亀田)がなぜか、タイトル保持に成功。不可解極まりない結末となった。
大混乱を招いたそもそもの元凶は、制限体重をオーバーする失態を犯した世界ボクシング協会(WBA)前王者リボリオ・ソリス(ベネズエラ)にある。IBFルールに沿えば、この時点で亀田大の“防衛”が確定。解せないのは、IBF立会人のリンゼイ・タッカー氏が前日計量後にまるで違う見解を述べていたことだ。
ソリスが勝った場合、WBA、IBF両王座とも空位になると説明していたのに、直後のルールミーティングに出席した亀田ジムの嶋聡マネジャーは「(IBFの)ルールブック通りに行うと紙を渡された。(ジムの)アドバイザーが口頭でも確認した」と話す。つまり、報道陣には「虚偽」の説明をしていたことになる。
「興行上の問題があったと思う」。そう声を潜めるのはあるボクシング関係者だ。勝敗にかかわらず、亀田大のタイトルは揺るがない-。そんな結果が事前に報道陣を通じて広まれば、ファンはわざわざ会場に足を運び、テレビの前で観戦するだろうか。チケットの払い戻しが相次ぎ、視聴率の低迷を招くのは容易に想像がつく。トリプル世界戦という一大イベントの権威を損ねないよう、異なる団体が協議して決めるのが通常の統一戦のルールを、IBFが二枚舌で悪用したのではないかと勘ぐりたくなる。
ボクシングに不可解な要素が含まれるのは「ショービジネス」たるゆえんだ。ただ、興行としての側面が膨らんでいけばいくほど、ボクシングという「スポーツ」のファンは離れていくのではないか。(細井伸彦)