最後の食事はアジ1匹でした 鳥羽水族館の深海生物
2013.2.9 11:00 [いきもの万歳]
鳥羽水族館で飼育されている深海生物のダイオウグソクムシ「No.1」=三重県鳥羽市
三重県鳥羽市の鳥羽水族館で暮らす深海生物ダイオウグソクムシが平成21年から餌を口にしていない。詳しい生態は分からず、絶食の理由も不明だが水槽の中で悠然と動き、至って健康そう。絶食記録は10日、1500日を迎える。
ダイオウグソクムシはメキシコ湾やカリブ海の海底約170~2千メートルに生息するダンゴムシやフナムシの仲間。海底に沈んだ動物や魚の死骸を食べることから「深海の掃除屋」と呼ばれる。
鳥羽水族館では3匹が飼育されており、絶食中の「No.1」は19年9月にメキシコ湾からやってきた体長29センチ、体重約1キロの雄だ。
最後に餌を食べたのは21年1月。アジを丸々1匹、5分ほどで骨まで平らげた。しかし、その後は餌を口元に持っていっても見向きもしない。イカの足やサンマなどさまざまな餌を試したが、うまくいかなかった。
水槽の水には人工海水を使用。プランクトンや海藻などの有機物が発生することは考えにくく餌以外のものを食べている可能性は低い。しかし、体格面でも見劣りせず、他の2匹を踏み付けながら散歩するNo.1には「水槽のあるじ」といった風格すら漂っていた。
木村妙子三重大准教授(海洋生態学)の話「ダイオウグソクムシはいつ餌にありつけるか分からないような生活をしているので、半分冬眠のような状態で暮らしている。そのために肝臓に大量の脂をため込んでいることがある。鳥羽水族館のNo.1も、まだエネルギーが体内に残っていて、食欲が湧かないのだろう」
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