【主張】
独立回復の日 主権守り抜く覚悟新たに
2013.3.13 03:24 (1/2ページ)[主張]
サンフランシスコ講和条約の発効から61年の今年4月28日を「主権回復の日」とし、政府主催の式典を開くことが閣議決定された。式典には、天皇、皇后両陛下も出席される。
敗戦国の日本が占領体制から脱し、独立を回復した日である。この事実を思い起こし、国際社会での日本の責任ある貢献の意義を再確認しようという安倍晋三政権の姿勢を評価したい。
主権とは、自国の意思で国民や領土を統治するという国家が持つ絶対的な権利を意味する。近年、日本の主権を脅かされる深刻な事態が国の周辺で起きている。
日本固有の領土である尖閣諸島の奪取を狙う中国は、領海、領空侵犯に加え、今年に入り、中国艦が海上自衛隊の護衛艦に危険なレーダー照射を加えてきた。
民主党政権は尖閣諸島を国有化したものの、沖縄県の無人島で予定されていた日米合同の離島奪還訓練をやめさせたり、中国艦を警戒する海自艦艇の行動を控えさせたりして、中国に過度の配慮をしてきた。それがかえって、つけ入るスキを中国に与えた。
安倍政権は、海自艦や海上保安庁の巡視船による領域警備をさらに強化してほしい。尖閣周辺の守りを固め、中国の尖閣奪取の狙いを封じることは、国家の重要な主権行使の一つである。
独立回復の日 主権守り抜く覚悟新たに
2013.3.13 03:24 (2/2ページ)[主張]
安倍首相は「奄美、小笠原、沖縄が一定期間、わが国の施政権の外に置かれた苦難の歴史を忘れてはならない」と述べた。
特に、沖縄は潜在主権が残されたとはいえ、講和条約発効後も20年間、米国の施政権下に置かれた。戦争末期の地上戦で多くの県民が戦死した事実と合わせ、国民が記憶にとどめておくべき歴史だ。
講和条約で日本は朝鮮、台湾、千島列島など旧領土を放棄した。だが北方四島は放棄した千島列島に含まれず、竹島も放棄した「済州島、巨文島及び鬱陵島を含む朝鮮」に含まれない。にもかかわらず、北方四島はロシア、竹島は韓国に不法占拠されたままだ。
横田めぐみさんらが北朝鮮工作員に拉致され、主権を侵害された問題が長年、放置されてきたのも、多くの政治家や外務官僚の主権意識が希薄だったためだ。
日本が固有の領土を取り戻し、完全に主権を回復できるまでに取り組まねばならない重要課題は山積している。