2012年7月19日 08:00 (サンケイスポーツ)
沢、PK蹴らない!?練習で大外し
大笑いしながらPK練習を見守った大野(左)らだったが沢(手前)が外すと気まずい表情に(撮影・川口良介) (サンケイスポーツ)
サッカー・日本女子代表合宿(18日、フランス・クレールフォンテーヌ)「なでしこジャパン」が金メダルを狙うロンドン五輪でPK戦に突入した場合、MF沢穂希(33)=INAC神戸=が5人のキッカーから外れる可能性が高まった。主力組が二手に分かれた17日のPK練習で豪快にふかし、チームは罰走。佐々木則夫監督(54)もお手上げムードだった。なでしこは19日(日本時間20日未明)、五輪前最後の強化試合としてパリでフランス代表と対戦する。
一瞬、ピッチが気まずい空気に包まれた。総仕上げに行われたPK練習は両チーム譲らず、サドンデスに突入。9人目のMF沢は勢いよく助走をつけたものの、シュートはバーのはるか上。ゴール後方の防御ネットを激しく揺らした。
やじを飛ばしていた主力組の面々も、女王の失敗に口をつぐむ。1本目はGK海堀と対し右下に鮮やかに決めたが、最後は明らかなミスキック。沢は仲間と一緒にセンターラインまで往復の罰走。これには佐々木監督も苦笑いを浮かべた。
「いいんじゃないの。またPK戦の5人に入ったら“蹴れない”っていうでしょう」
くしくも17日は、1年前のドイツW杯で優勝した日。決勝の米国戦は2-2のまま延長戦で決着がつかず、PK戦に突入した。沢は4番手の予定だったが「最後に回して」と弱気だったため、5人のキッカーから外れた。06年アジア大会決勝・北朝鮮戦でPK戦を外したことが、トラウマになっている。
もっとも、沢は一夜明けた18日に真相を明かした。「あれはサドンデスで切りがないから“沢さん、空気呼んで”と周りに言われたの」。MF阪口らの要望に応え、思い切り右足を振り抜いたという。「でも、どうせ試合じゃ蹴らないからいいの。(順番も)最後にしてもらって、その前に決めてもらう」と笑ってみせた。
延長を含む120分で決定的な仕事をするのが沢だ。PK戦にもつれ込む前に勝負を決めれば、何の問題もない。「外したことは外してますからね。ショック? 全然、大丈夫ですよ」。女王の実力は、五輪前最後の強化試合となる19日のフランス戦できっちり示す。
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