世界ウイグル会議 中国の抗議は内政干渉だ
2012.5.17 03:09 (1/2ページ)[主張]
中国による不当なウイグル人弾圧などを訴えて東京で開催中の「世界ウイグル会議」代表大会(17日まで)に出席した日本の国会議員らに対し、程永華駐日中国大使が抗議文を送った。
日本での開催容認を「中国の内政に対する干渉」だと決めつけ、同会議との接触を断つよう求めている。
言論、集会の自由を保障するのは民主主義国家の根幹であり、揺るがしてはならない。理不尽な要求を、日本政府は断固はねつけるべきだ。
13日の日中首脳会談でも温家宝首相が野田佳彦首相に対し、同会議のラビア・カーディル議長らへの査証(ビザ)発給について「テロリストを入国させるのは許せない」と激しい言葉を浴びせたという。温発言や程大使の抗議文こそ、一党独裁国家による独善的な内政干渉と受け取られよう。
程大使の抗議文は日本ウイグル国会議員連盟会長の古屋圭司衆院議員(自民)ら代表大会に出席した5人のほかにも送付されたようだ。今月8日付だが、大会初日の14日に届いたという。
抗議文は中国による新疆統治の正当性を強調している。「世界ウイグル会議」は中国の分裂をたくらむテロ組織の結合体▽カーディル議長は中国の司法機関から訴追されている犯罪人-などとし、開催を認めれば「日本の安全にも害がある」と主張している。
世界ウイグル会議 中国の抗議は内政干渉だ
2012.5.17 03:09 (2/2ページ)[主張]
しかし、中国から亡命したウイグル人を束ねる組織として2004年に再編された「世界ウイグル会議」は、国際的に認知された人権団体も支援している。米国に亡命したカーディル議長は、これまでに何度も来日した。違法性がない限り、開催に政府が介入するのは妥当でない。
今回の会議には、議長を含め世界20カ国から約120人が集まっている。代表大会がアジアで開催されるのは初めてだ。中国の反対を恐れ、尻込みしては民主主義国家としての信用にかかわる。
カーディル議長らへのビザ発給に関し、玄葉光一郎外相は16日の記者会見で「国内法と国際法に従い、安全に害があるかどうかも含めて、きちっと対応している」と述べた。
野田首相はこうした民主主義のルールを説明して反論し、中国側の不当な介入に屈しない姿勢を世界に発信すべきだ。