【ギリシャ総選挙】
苦悩深まるギリシャ 再び世界経済の混乱要因に
2012.5.7 21:04 (1/2ページ)
極右政党「黄金の夜明け党」の本部前で、国政初進出を祝う支持者ら=6日、アテネ(ロイター)
【ロンドン=木村正人】欧州債務危機の震源地であるギリシャの総選挙は財政緊縮策を推進する連立2与党が過半数を割り、再び総選挙が行われる可能性が出ている。経済が5年連続マイナス成長を続ける中、緊縮策に国民が「NO」を突きつけた。ギリシャ支援の枠組みが大きく揺らいで、単一通貨ユーロ圏や世界経済を混乱に陥れる恐れもある。
内務省の中間集計では、改選時第2党の新民主主義党(ND)が108議席で第1党になるものの、第1党だった全ギリシャ社会主義運動(PASOK)は41議席と第3党に転落。改選前は計201だった与党の議席は計149となり、国会(300議席)の過半数を割る見通しだ。
反緊縮派の急進左派連合が11議席から52議席に増やし、第2党に躍進。移民排斥を訴える極右・黄金の夜明け党も21議席を獲得、初めて国政に進出した。フランス大統領選の第1回投票と同様、グローバル化や欧州統合に反対する極左、極右の伸長が鮮明になった。
苦悩深まるギリシャ 再び世界経済の混乱要因に
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極右政党「黄金の夜明け党」の本部前で、国政初進出を祝う支持者ら=6日、アテネ(ロイター)
パプリアス大統領は7日、第1党となったNDのサマラス党首と会談、組閣を要請するが、不調に終われば、第2党の急進左派連合が連立交渉に入る。しかし、緊縮推進派と反緊縮派の溝は大きく、2~3カ月内に再び総選挙が行われる可能性がある。
40年近く政権交代を繰り返してきたPASOKとNDは昨年11月、EU(欧州連合)や国際通貨基金(IMF)による第2次救済策をまとめるため、前欧州中央銀行(ECB)副総裁のパパデモス首相を支える大連立を組んだ。
1300億ユーロ(約13兆5千億円)の支援を受ける条件となっている緊縮策が政治の機能不全で実行できなければ支援が停止。ギリシャは無秩序のデフォルト(債務不履行)に陥り、ユーロ圏から離脱せざるを得ない事態も想定される。
サマラス党首は「成長を促すため支援条件の修正を目指す」と述べたが、急進左派連合のツィプラス党首は「救済策を白紙に戻す」と強調。単一通貨という首かせをはめられたギリシャの苦境は深まる一方だ。