【蹴球ノート】
なでしこ人気を一過性で終わらせないために 女性版CWCのアイデアも
2011.7.16 10:21
練習で笑顔を見せる岩清水(左)と岩淵=フランクフルト(共同)
女子ワールドカップ(W杯)での「なでしこジャパン」の活躍で、日本の女子サッカーに何度目かの脚光が当たっている。決勝戦も日本時間18日未明という時間帯にもかかわらず、多くの人がテレビ観戦することだろう。
だが、国内の女子サッカーを取り巻く環境は厳しい。経済情勢などに左右され、2008年限りで元日本代表主将の池田浩美らを擁していた関西の名門TASAKIがなでしこリーグから退会。
沢穂希や大野忍ら代表の主力級選手ですら、昨季まで所属していた日テレからプロ契約は難しいと宣告され、INACへ移籍。大多数を占めるアマチュア選手の中には、アルバイトをするなどして生活費をかせがなければならない選手もいる。かつて、元日本代表FW荒川恵理子(現浦和)がスーパーでレジ打ちをしていたのは有名な話だ。
なでしこリーグでは、改革の一環として全試合の有料化を目指している。今季も一部の試合で試験導入しているが、リーグ事務局によると、1試合平均の観客数は800人弱で、有料化のメドとなる1500人には遠く及ばない。
問題は、今回の代表人気を、どのようになでしこリーグに結びつけるか。手をこまねいていては、過去の五輪時などと同じように一過性のブームで終わってしまうだけだ。
そのためには、リーグに加盟する各クラブがスポンサーを募って経営基盤を安定化させ、プロの選手を増やす…。男子のJリーグ以上に地道な活動が求められるだろう。
一方で、あるクラブのオーナーは「女性版のクラブW杯を作りたい」とぶち上げる。「世界に通じるクラブがないと、盛り上がらない」との思いからだ。そんな思い切った手を打つのもひとつではないか。