ロシアがキルギスに空挺部隊を派遣 臨時政府を実質承認
2010.4.9 09:03
デモ隊と治安部隊の衝突から1夜明けた8日、キルギスの首都ビシケクの政府庁舎付近で、焼け焦げた車に乗って記念写真を撮る若者=8日、ビシケク(AP)
【モスクワ=遠藤良介】ロシアは8日、反政府騒乱で臨時政府が樹立された中央アジア・キルギスに約150人の空挺(くうてい)部隊を派遣した。キルギスにはロシア軍が駐留するカント空軍基地があり、自国民保護を名目とした増派だ。
プーチン露首相は同日、臨時政府首班のオトゥンバエワ元外相と電話会談し、他国に先駆けて新政権を事実上承認。ロシアは米国や中国に対抗して中央アジアでの影響力を強めるべく、キルギスへの積極的な関与策に出ている。
オトゥンバエワ氏はロシアのラジオ番組に出演し、「犯罪的な家族体制(バキエフ政権)の摘発についてロシアの多大な支持があった」と謝意を表明。「支持」の具体的内容は不明ながら、今回の政変の背後にロシアの意向があった可能性も示唆した。
一方、南部のジャラル・アバド近郊に滞在するとみられるバキエフ大統領は、現地報道機関に「大統領を辞職するつもりはない」などと語っている。
首都ビシケクでは8日も商店や行政庁舎での略奪が続き、臨時政府のシェルニヤゾフ内相は治安部隊に略奪者への武器使用を許可した。7日の反政府騒乱ではデモ隊と治安部隊の衝突で75人が死亡、千人以上が負傷しており、臨時政府は9、10日を服喪期間とした。