札幌の児童館でトルエン検出 基準の26倍 改修後、10日間開放
(04/06 09:08)北海道新聞
札幌市は5日、3月に改修工事を行った宮の沢児童会館(西区)で国の基準値の26倍超のトルエンが検出されたと発表した。市が揮発性有機化合物の濃度測定をしなかったうえ、職員1人が体調不良を訴えた後の対応にも遅れ、改修後、4月3日に臨時閉館するまでの10日間で延べ1053人もの乳幼児や児童らが利用していた。
トルエンは揮発性有機化合物の一つで、吸入すると皮膚の異常、平衡感覚失調などの症状が出ることがある。
市によると、工事はプレイルームの床の改修で3月21、22日に実施。特殊なコルク床にするため、トルエンを多く含む接着剤を使ったが、市は公共建築物シックハウス対策指針が定めた濃度測定をしないまま、23日に児童会館を開放した。
翌24日に女性臨時職員(42)の唇が腫れる症状が現れ、25日に「アレルギー反応」と診断された。館長が26日、市に「調査してほしい」と申し出て、市は施工業者に調査を依頼。業者が28日と31日に行った測定で基準の23倍から26倍に当たる1立方メートル当たり6千~6800マイクログラムの測定結果が出た。
業者から連絡があり、市が測定結果を把握したのは4月2日午前10時ごろ。同日も春休み中の子供たちが午前中から利用していたが、市が閉館を決めたのは午後5時45分で、午後6時まで通常通り開館した。
同会館は小中高生や母子が利用。親が共働きの子供を預かる児童クラブが行われ、常時小学生50人近くが利用している。