畜産向け新型融資が拡大 農家の資金調達力を向上
豚や牛などの家畜を担保にした畜産農家向け融資が拡大している。金融機関が食肉会社と提携し、農家の経営状況が把握できる仕組みを構築。日本政策金融公庫では2009年度の件数が2月半ばまでに08年度の3倍に増えた。地方銀行や大手銀行も参入し、農家の資金調達力を向上させる新たな融資の形態として注目を集めている。
千葉県で母豚約千頭を飼育する養豚農家の男性は09年7月、豚を担保に飼料代や人件費といった運転資金5千万円を日本政策金融公庫から借り入れた。男性は「豚舎を建てた際に土地と建物を担保に入れていたので、昨年夏に豚肉の値段が下がり、運転資金が足りなくなったとき、本当に助かった」と話す。
在庫や生産設備などを担保とした融資は動産担保融資と呼ばれる。これまで家畜は(1)金融機関側に肥育や換金のノウハウがない(2)正常に成長し、価値が下がっていないか確認することが難しい―といった理由から、担保にはほとんど用いられてこなかった。
日本政策金融公庫は食肉会社や飼料会社と提携し、貸出先が破綻した際は、家畜の所有権を公庫に移した上で、肥育や出荷を食肉会社経由で別の農家に委託できる仕組みとした。
2010/03/20 09:12 【共同通信】