中国、監視網張り安定維持に躍起 不満対策もアピール
【北京共同】中国政府は、開会中の全国人民代表大会(全人代)で土地の強制収用や少数民族をめぐる問題の解決の重要性を訴え、本腰を入れて対応する姿勢をアピールしている。しかし土地を奪われた農民や弾圧を受ける少数民族の不満は根強く、当局は全国の隅々まで監視の網を張り巡らせ、安定維持に躍起になっている。
7日、楊外相の記者会見終了の間際、会場の人民大会堂前の天安門広場で数十枚のビラが空を舞った。陳情に来た女性が、ビラを一気に投げ上げたためだ。全人代期間中は毎年、代表らに訴えを聞いてもらおうと、陳情者が地方から北京に多数集結するが、今年は陳情者が集まって滞在する地域は人影もまばらだ。
「全人代を前に一斉に陳情者を拘束するか自宅軟禁にした」。民主活動家らの説明によると、過去に何度か北京に行った陳情者は身分証明書番号や携帯電話の衛星利用測位システム(GPS)で地方の公安当局が居場所を割り出し拘束。北京にいる民主活動家らは逆に北京から地方に連行され、ホテルなどに軟禁された。
強制収用は暴動などのきっかけになることも多く、温家宝首相は5日の政府活動報告で「土地収用に伴う家屋立ち退き問題を真剣に解決する」と強調した。
2010/03/08 19:06 【共同通信】