中国、調和社会へ正念場 住宅高騰や格差に不満
【北京共同】中国の温家宝首相は5日開幕した全国人民代表大会(全人代=国会)で「民生の改善は経済発展の根本的目的」として国民生活の改善・向上に全力を挙げる姿勢を強調した。
しかし大型景気対策の副作用で住宅価格は高騰し、格差拡大に国民は不満を募らせる。格差是正に向け胡錦濤指導部が掲げてきた「調和社会」実現は正念場を迎えている。
「昨年1年間の値上がり幅は、過去数年間の値上がり幅を上回った」。ある大学教授が北京市北西部の新興住宅地で2003年に購入したマンションは、当時の1平方メートル3500元(約4万6千円)から08年の北京五輪前に1万3500元に上昇。その後、金融危機で頭打ちとなったが、再び急騰し、昨年末には2万5千元になった。
金融危機対策で中国政府が実施した積極財政と金融緩和が、価格高騰の最大の要因だ。隣接する住宅地では、父が共産党最高幹部だった開発業者が、1平方メートル3万元の新築マンションを売り出しているという。
温首相は全人代での政府活動報告で、低所得者向け住宅の供給拡大や投機的な住宅購入抑制の方針を表明したが、市民は「住宅価格の上昇で最も恩恵を受けたのが党幹部や官僚」(食料品店員)と効果に懐疑的だ。
2010/03/05 16:57 【共同通信】