【海外事件簿】ネットの自由はどこまで許されるか 性犯罪助長する米掲示板に批判 (3/3ページ)
2010.1.30 07:00
2009年12月、米ワイオミング州の巡回裁判所で、予審の開始を待つオリバー・マクドウェル被告(AP)
高まる批判
犯罪が頻発するなか、サイトの運営会社を相手取り裁判を起こす動きも出ている。昨年3月、米イリノイ州クック郡のトーマス・ダート保安官は、性的サービスを仲介するサイトの機能を停止するよう求め、同社を提訴した。
しかし、イリノイ州の地方裁判所は10月、ダート保安官の訴えを退ける判決を下した。AP通信によると、裁判官は判決で「仮にサイトの規則を破り違法な性的サービスを提供する広告が掲載されても、クレイグスリスト側に問題行為があったとはいえない」との判断を示したという。
クレイグスリスト側も強気だ。昨年5月には、サイトの運営会社を「刑事告訴すると脅した」とし、サウスカロライナ州のヘンリー・マクマスター検事総長の提訴に踏み切った。同社のジム・バックマスター最高経営責任者は「AT&Tやマイクロソフトなどのサイトや新聞には、われわれよりも多くの成人向け広告が掲載され、なかには露骨な写真を掲載しているものも多い」などと指摘した。
ただ、同社を訴えたダート保安官は「この2年間で、クレイグスリスト経由で発生した犯罪は数百件規模で発生している。その多くが未成年者によるものだったり、人身売買と関係があるものだった」と指摘し、同社の姿勢に強い疑問を呈する。犯罪の発生が今後も続けば、警察当局がさらに強い姿勢でクレイグスリストに戦いを挑むこともありそうだ。