最近は怒りと言うよりもあきれることが多くなった。(笑)
また,あきれることが・・。
それは,後日に。
怒りの感情をコントロールする法
交渉でカッとなったりムッとしたりして後悔しないためには
プレジデント 2006年4.17号
議論がヒートアップしてきたとき、互いに冷静さを保つためには、どんな態度をとればよいのだろうか。
文=スーザン・ハックレー 翻訳・ディプロマット
相手が挑発的な態度をとったときにはつい感情的になりがちだ。議論がヒートアップしてきたとき、互いに冷静さを保つためには、どんな態度をとればよいのだろうか。
強い感情のプレッシャーがあるなかで交渉することは、ネゴシエーターにとって最も厳しい挑戦の1つかもしれない。誰かに不快なことを言われたら、言い返したくなるはずだ。
激しい感情――悔しさ、怒り、失望、不安、恥ずかしさなど――に襲われると、気をしずめて交渉を続けることなど不可能ではないかと思えるときがある。
医療機器メーカーのビジネス開発担当副社長、マークは、香港の販売代理店の販売担当副社長、フランシスと、販売契約の詳細について何カ月もかけて交渉してきた。
マークは最終合意がまとまることを期待して、シカゴのオフィスにフランシスを迎える。ところが、最初の挨拶がすむと、フランシスは売り上げからの代理店の取り分を10%上げてくれと要求する。合意ずみと思っていた問題が蒸し返されたのだ。
マークはショックを受けて、こう言い返す。「われわれはすでにあらゆる問題で合意しており、私はそれを上司に報告している。それなのに、あなたはもっと搾り取りたいというのか。そんなことが受け入れられるはずがない」。
マークはミーティングを取りやめにしたい気分だが、その交渉を救済できるかどうかを素早く、しかも理性的に判断する必要があることも承知している。
われわれの多くがそうだが、マークもまた、交渉の場で自分の感情に対処する具体的な策など持ち合わせてはいない。感情の領域は複雑だから、それは無理からぬことだ。
ハーバード法律大学院交渉プログラムの研究者、ロジャー・フィッシャーとダニエル・シャピロは、新著『Beyond Reason: Using Emotions as You Negotiate(理性を超えて:交渉のなかで感情を利用する)』で、交渉のなかで感情にうまく対処するための新しい枠組みを打ち出している。
「人は考えを持つのをやめることができないように、感情を持つこともやめることはできない。なすべきは、交渉相手のなかに、また自分自身のなかに有益な感情を生み出せるようにすることだ」。
『Beyond Reason』はネゴシエーターに、交渉でとくに重要と著者がみなす5つの中核的要素――賞賛、親和、自主性、地位、役割――に関心を集中するよう勧めている。
「これらの中核的要素を使って交渉の席の感情的雰囲気を理解し――おそらくはさらに重要なこととして――それを改善することができる」と、シャピロは言う。「より楽々と、より効果的に交渉できるようになる」。
(1)賞賛を示す
『Beyond Reason』でフィッシャーとシャピロは、効果的な賞賛には、3つのステップが必要だと述べている。(1)相手の視点を理解する、(2)その視点の長所を見つける、(3)理解したということを言葉と行動で相手に伝える、の3つである。
賞賛を示すというのは、感情が高ぶっているときの行動としては常識と正反対のように見えるかもしれない。自分の感情を傷つけた相手になぜ賞賛を示す必要があるのだろう。
ずばり言うと、相手の視点を理解し、賞賛すれば、相手のなかに協力しようという気持ちが生まれるからだ。あなたが自分の主張を聞いてくれ、高く評価してくれたと感じた人間は、あなたに協力する可能性が高くなる。
「賞賛することは屈服することではない」と、シャピロは述べている。「相手の視点を賞賛することで、相手の考えとその考えがなぜばかげたものではないのかを理解していることを相手に知らせるわけだ。これによって、あなた自身やあなたの考えに対する相手の抵抗を減らすことができる。
また、相手が抵抗姿勢をとり続けたとしても、相手を動かすのに役立つ貴重な情報を得ることができる」と、シャピロは語っている。
(2)親和関係を築く
フィッシャーとシャピロは、「親和関係を築く機会を見過ごし」「人と人を近づける感情的つながり」を軽視するという一般的な傾向について、ネゴシエーターに注意を促している。
「あなたが交渉している相手は単に組織の一部というだけの存在ではないことを忘れてはならない」とシャピロは言う。「人間はみな個人の物語を持っており、それを通じて互いにつながることができる」。
交渉を進めるなかで、あなたと相手の共通点を見つけよう。もしくは新しい共通点をつくるよう努力しよう。相手の家族や仕事や趣味について尋ねることで(「お子さんは何人ですか」「週末もよく仕事をなさるんですか」「山のそばにお住まいのようですが、スキーはお好きですか」等々)、感情的つながりを見つけてもよいだろう。
ネゴシエーターは親和関係を築くことで信頼を高め、緊張を和らげる。
しかし、親和関係を利用してあなたにつけこむこともあるので、用心する必要がある。
怒りの感情をコントロールする法
交渉でカッとなったりムッとしたりして後悔しないためには
プレジデント 2006年4.17号
議論がヒートアップしてきたとき、互いに冷静さを保つためには、どんな態度をとればよいのだろうか。
文=スーザン・ハックレー 翻訳・ディプロマット
(3)自主性を尊重する
ああしろ、こうしろと指図されるのが好きな人間はいない。誰かが「イエスかノーか」の二者択一の要求をしたり、あなたの振る舞い方を指図したりするとき、その人物は、あなたが自分の思いどおりに決定したり、行動したりする自由を制限していることになる。
「この取引をまとめたいなら、私の価格を受け入れなくてはいけない」とか、「小幅な増額しか得られなかったからといって落ち込まないでくれ」といった言葉は、あなたの自主性を侵すものであり、あなたの気分を害するだろう。
また、契約書の試案は自分のほうで作成すると言い張ることも、相手の自主性を侵害する行為になるかもしれない。
自分の自主性と相手の自主性を尊重することは、多くのネゴシエーターが陥る感情の落とし穴を避ける一助になる。フィッシャーとシャピロが述べているように、組織のリーダーは自分の決定が社員の生活を左右することをともすると忘れがちになる。
たとえば、合併を計画している場合には、2つの会社の企業文化が互いにどのような影響をおよぼし合うかという、社員にとっては決定的に重要な問題を、経営者は検討すべきだろう。
上司には当然、組織の基準を設定する権限がある一方で、自主性にかかわる問題を識別し、それらの問題を社員と話し合うことは、対立を最小限に抑える一助になる。
(4)相手の地位を認める
「あらゆるネゴシエーターに敬意をもって接しよう」と、フィッシャーとシャピロは述べている。誰にでも「専門知識や経験によって比較的高い地位を与えられている分野」があるからだ。
あなたは財務計画に詳しいことでその分野で高い地位を与えられているかもしれないが、あなたより若い相手は、数値処理に必要なソフトについてあなたより熟知しているかもしれないのだ。
相手の「地位の分野」を見きわめて敬意を払うことは、信頼感や相互協力を高め、高ぶった感情が深刻化するのを防ぐ働きをすると思われる。地位の基盤となる分野としては、学歴、ビジネス経験、技術経験、人脈など、さまざまなものが考えられる。
相手の地位を認めることは重要だが、その一方で、フィッシャーとシャピロが「地位の副作用」と呼ぶものにとらわれないよう注意することも必要だ。
とりわけ、CEO、著名人、金持ちなど、高い地位の人々の意見を特別に重視することは避けなければならない。高い地位の人間と親密になると、自分自身の地位も高くなったような気がすることがあるため、あなたは相手を喜ばせようとしたり、感心させようとしたりする危険性がある。
そのような親密さは、誇りや自負といった正の感情を生み出してはくれるが、賢明な決定を下す能力をゆがめ、あなたやあなたの会社の最善の利益にならない結果をもたらすおそれがある。
(5)納得のいく役割を選ぶ
われわれはみな、生活のなかでいくつもの役割を演じている。マネジャー、親、友人、兄あるいは弟などだ。ネゴシエーターとしてのわれわれは、クライアントや上司の代理人という役割を演じていることもあるだろう。
自分の役割が気に入らない場合、あるいは自分の複数の役割が互いに対立する場合、負の感情が高まることがある。
強い感情は、うまく方向づければ、情熱を込めて自分の言い分を主張する原動力になる。しかし、交渉の最中にあなたが自分の感情に負けてしまったら、感情はあなたの関心を要点からそらし、ひどい結果をもたらすことになる。これまで見過ごされてきた中核的要素を重視することで、あなたはより有能で強力なネゴシエーターになれるはずだ。