聖骸布にキリストの名前 歴史研究家が発見と発表
2009.11.21 09:17
2000年8月12日、イタリア・トリノの大聖堂で公開された「トリノの聖骸布」(AP)
ローマ法王庁(バチカン)の歴史研究家バルバラ・フラーレさんは、キリストの遺体を包んだ亜麻布と信じられている「トリノの聖骸布(せいがいふ)」から、キリストの名前や「処刑された」と書かれた文字を発見したと発表した。20日付のイタリア紙レプブリカなどが伝えた。
同国北部トリノの大聖堂に保管されている聖骸布をめぐっては、中世以降の偽物との説もあり論争が続いている。フラーレさんは今回の発見で、本物である可能性が強まったと指摘した。
聖骸布にはやせた男性の全身像の影が写っており、文字は顔の周辺で見つかった。非常に薄かったため、コンピューターの画像処理で、くっきりと浮かび上がらせた。その結果、キリストの生きていた当時、使われていたアラム語やギリシャ語、ラテン語で、処刑が行われたことを示す文字やキリストの呼び名だった「ナザレのイエス」の文字が見つかった。
トリノの聖骸布(せいがいふ)
処刑されたイエス・キリストの遺体を包んだと言い伝えられる亜麻布。長さ4・4メートル、幅1・2メートルで、男の人影が写っている。14世紀に十字軍によって中東からフランスに持ち帰られたといわれ、後のイタリア王家が入手、最後の国王ウンベルト2世の遺言で1983年、ローマ法王に献上された。現在は、トリノのサンジョバンニ大聖堂で保管されている。88年の調査では、13~14世紀の物と鑑定されたが、異論も多い。(共同)