厚生労働省は「偏在解消には至っていないが、大学病院や都市部以外の病院で人員が増加に転じており、制度改正による一定の効果は見受けられる」としている。
大学病院、5年連続半数割れ 医大生研修先、地域格差も
2010年度から医師になる医学部の大学生らが臨床研修病院を選ぶ「マッチング」結果が29日公表され、希望順位登録者8200人中、7875人の研修先が決まった。
大学病院は3916人(49・7%)で、民間や自治体が運営する市中病院が3959人(50・3%)。大学病院の比率は08年実施の前回マッチング(49・1%)より上昇したものの5年連続で半数を割り込んだ。
募集定員(全国で計1万500人)に対し、確保できた学生の割合(充足率)を都道府県別にみると、トップは東京の92・0%で、次いで神奈川の89・0%。都市部の病院が依然として高い人気を維持している一方、前回39・2%と全国最下位だった富山が59・2%に大幅アップ。
しかし鳥取(36・7%)と島根(31・0%)が3割台にとどまるなど、地域格差があらためて浮き彫りになった。
厚生労働省は「偏在解消には至っていないが、大学病院や都市部以外の病院で人員が増加に転じており、制度改正による一定の効果は見受けられる」としている。
東京、神奈川に次いで充足率が高かったのは愛知(88・9%)、大阪(88・5%)、福岡(88・3%)。最下位は島根で、鳥取、山梨(45・7%)、埼玉(48・2%)、青森(48・8%)が続いた。
マッチングは、04年度に義務化された臨床研修制度に伴い導入されたが、「医局特有の徒弟制度が色濃く残る」などの理由で大学病院を避ける学生が急増。
国が5月、(1)都道府県や病院ごとの募集定員を設定(2)地域への医師派遣機能を持つ大学病院などの定員枠を優遇-するなど制度を見直した。
2009/10/29 18:52 【共同通信】