下記記事。沖ノ鳥島記事と関連もの。
【主張】ガス田に中国船 納得のいく説明を求めよ
2009.7.16 03:45
このニュースのトピックス:主張
日中両国が協力して開発することで合意している東シナ海の「白樺」(中国名・春暁)ガス田で、中国船が作業を行っていることが分かり、中曽根弘文外相は中国側に確認を求めた。
中国側は「プラットホームの維持・管理に関する作業だ」と説明しているが、日本はそれを確かめようがない。
中曽根外相が「掘削準備のための一部資材が含まれている可能性もある」として、中国側に重大な懸念を伝え、信頼を損なう行為をとらないよう申し入れたのは当然のこととして、それだけでは不十分だ。
日中両国は昨年6月、「翌檜(あすなろ)」(同・龍井)付近の共同開発と「白樺」への日本の出資で合意し、「樫」(同・天外天)、「楠」(同・断橋)は継続協議となった。
しかし、今年1月、継続協議対象の「樫」ガス田で中国が新たに掘削を行っていたことが分かり、日本側は抗議した。その後は中国側に目立った動きがなく、合意から1年が経過した。
そのような時期に中国が再びガス田で活動を始めた意図は何か。日本は中国側から、より詳しい納得のいく説明を求めるべきだ。
最近、中国は南シナ海や東シナ海での海洋権益を確保するため、これまで以上に強硬姿勢を鮮明にしている。
今年3月、中国最大・最速の漁業監視船が南シナ海の西沙(パラセル)諸島に到着したほか、来年にはヘリコプター搭載の監視船が就役する見通しだ。
南シナ海の公海上では、米海軍の音響測定艦に対する中国艦船の妨害行為が目立っている。また、東シナ海では昨年12月、尖閣諸島周辺の日本領海に中国の艦艇が侵入した。
中国の強硬姿勢の背景には、海軍力の拡大を狙う軍の存在があるといわれる。中国国家海洋局も東シナ海での巡視範囲の拡大など活動を強化する方針を決めている。こうした中国の動きにも、絶えず注意を払う必要があろう。
ガス田は、日本の排他的経済水域(EEZ)内の海底資源を守るという主権的権利にかかわる問題だけに、毅然(きぜん)とした対応が何よりも必要だ。
ガス田付近の監視態勢を強め、今回のような動きがあれば、ただちに反応し、既成事実化を絶対に許してはならない。
中国の合意違反に備え、日本側の対抗措置として、中間線の日本側海域で試掘を実現に移すための検討も怠るべきではない。