「幻」の古浄瑠璃本:ゆかりの新潟県柏崎市で上演
毎日新聞
11 時間前
29.09.25.
新潟県中越沖地震復興10年とロンドン公演開催を記念して、ゆかりの地・新潟県柏崎市で上演された「弘知法印御伝記」の一場面=2017年9月24日、中澤雄大撮影© 毎日新聞
江戸時代の元禄年間に海外へ持ち出され、ロンドンの大英図書館に1冊だけ残る「幻」の古浄瑠璃本「越後国柏崎 弘知法印御伝記(こうちほういんごでんき)」が24日、ゆかりの地・新潟県柏崎市で上演された。今年6月のロンドン凱旋(がいせん)公演と、2007年に柏崎を襲った同県中越沖地震から復興10年を迎えた節目を記念して企画された。
長年、大英博物館で埋もれていた「御伝記」を55年前に発見した鳥越文蔵・早大名誉教授(89)とともに、公演の実現に尽力した日本文学研究者のドナルド・キーン米コロンビア大名誉教授(95)は「とても素晴らしいです」と感激していた。
「御伝記」は14世紀に即身仏(ミイラ仏)となった同県長岡市の西生(さいしょう)寺に安置されている弘智法印という高僧の伝説を元にした内容。1685(貞享2)年に物語化された。
この日は約1時間にわたって、文楽三味線弾きでキーンさんの養子の越後角太夫さん(67)と、佐渡に伝わる「文弥(ぶんや)人形」遣いの西橋八郎兵衛(はちろべえ)さん(69)らでつくる「猿八(さるはち)座」が熱演し、盛んな拍手が送られた。【中澤雄大】