“無断で野菜畑”の市有地ついに明け渡し 今後の利用は「白紙」
産経新聞
6日前
29.04.10.
“無断で野菜畑”の市有地ついに明け渡し 今後の利用は「白紙」: 大阪府交野市が約3億円で買収した後、住民らが野菜畑として利用してきた市有地=交野市星田地区© 産経新聞 提供
大阪府交野市星田地区の市有地を約25年前から住民が野菜畑として無断利用していた問題で、周辺住民が3月末、畑を元の状態に戻して市に明け渡した。昨年の市議会で「無断利用を知りながら黙認していた」と追及を受けた市が、住民に原状回復して返還するよう求めていた。ただ、市有地の今後の利用方法は白紙の状態で、住民からは「高齢者の憩いの場だったのに…」とぼやきの声も聞こえる。(吉国在)
ハクサイ、サニーレタス、ジャガイモ栽培
問題の市有地は、「交野市民創造の森整備構想」として森林公園の整備計画がある用地約9万2千平方メートルのうち、星田地区の一画約6500平方メートル。市は約25年前、整備計画が進まないことから、住民に市有地の草刈りなど管理を依頼したところ、この住民が畑を耕し始めた。その後、周辺住民約40人が参加してハクサイやサニーレタス、ジャガイモなどを栽培し、各家庭で個人消費してきた。
市はこの一画の買収に約3億円を投じたが、これまで住民に賃料などを要求せず、無断利用を半ば黙認してきたとされる。しかし、昨年3月の市議会でこの問題が取り上げられたことなどから、市は同年9月、利用住民に今年3月末までに原状回復するよう依頼。4月以降は市が土地を管理することを決めた。
また草がボウボウに生える…
市有地の明け渡し期日となった3月31日、畑として利用していた住民数人が小雨の降る中、家庭菜園の収穫物や農具などを片付けた。
住民の男性(68)は「市の土地を私物化するのが公平でないのは事実。長年使わせてもらったのだからきれいにして返したい」と話した。一方、別の男性(72)は「私らが畑として管理しなければ、また草がボウボウに生えて見栄えも悪くなるし、管理にはお金もかかる。高齢者らの憩いの場になっていたのに…」と残念がった。
市の担当者は「周辺住民から苦情が出ないよう草刈りなどを定期的に行っていく」と話している。市有地の活用方法は今後検討していくという。