掛け軸:怨霊となる菅原道真描く 福岡で偶然発見
毎日新聞
16 時間前
29.01.23.
学問の神様「天神さま」で知られる菅原道真の生涯や死後の怨霊(おんりょう)となる場面などを絵にした「天神縁起絵」の掛け軸が、福岡県小郡市で見つかった。全国で十数点しか確認されていない珍しい掛け軸で、県内では太宰府天満宮所蔵の2点に続き、3点目の発見となる。
掛け軸は元々、同市稲吉区の老松神社に保管されていた。昨年4月、区長らに代々受け継がれてきた、たんすの中から偶然見つかった。区民らは市埋蔵文化財調査センターに調査を依頼していた。
菅原道真が死後に怨霊となる場面などが描かれた掛け軸の一部=小郡市埋蔵文化財調査センター提供© 毎日新聞 菅原道真が死後に怨霊となる場面などが描かれた掛け軸の一部=小郡市埋蔵文化財調査セ…
掛け軸は縦185センチ、幅64センチの2幅セット。絵の顔料などから江戸時代後期の作品とみられるが保存状態がよく、発色が鮮やか。1幅に道真の不遇の生涯、もう1幅には道真の死後に都で起きた天変地異とそれを鎮めるために北野天満宮(京都市)が建てられた話や老松神社が記され、2幅で計46の場面が描かれている。他の天神縁起絵にはない母子が描かれた場面もある。
九州歴史資料館(小郡市)の松川博一学芸員は「筑後地域での天神信仰の広がりを示す物証であり、貴重だ」と評価する。市教委は市文化財指定を進める予定で、同区長の樋口正春さん(71)は「稲吉だけでなく、市の宝物になればうれしい」と話している。【林壮一郎】