ロシアに商機、事業拡大狙う=経済協力が追い風―大手商社
時事通信
15 時間前
28.11.28.
12月の日ロ首脳会談に向け、資源・エネルギー開発や都市整備など8分野で両国の経済協力に向けた協議が進んでいる。ロシアビジネスを長く手掛ける大手商社は、「このような追い風はまたとない」(丸紅)などとして、商機を生かした事業拡大を狙っている。
サハリン(樺太)で原油や天然ガスを生産する「サハリン2プロジェクト」に1986年から携わる三井物産。事業会社に12.5%出資し、ロシアでの中核事業と位置付ける。現在、筆頭株主のロシア国営天然ガス独占企業ガスプロムなどと、3基目の液化天然ガス(LNG)生産設備の建設を計画する。
カムチャツカ半島では風力発電で必要な電力を供給する実証実験を行い、国営電力大手ルスギドロへの出資も検討している。三井物産は「産業の多角化などでは、かつてないほど日本企業への期待が大きい」とみている。
三井物産と共にサハリン2に参加する三菱商事は9月、サハリン産天然ガスからメタノールを生産する工場の設立に向け、事業化調査の覚書を州政府と交わした。メタノールは化学品原料で、クリーンエネルギー源としても注目されている。
丸紅はナホトカのボストチヌイ港で石炭搬出設備を建設中で、来年にも完成する予定。双日は日本空港ビルデングなどと共同で、ハバロフスク空港のターミナル拡張や運営事業の受注を目指す。ロシアの極東の玄関口である空港への投資で存在感を高め、今後の事業拡大を狙っている。
日本貿易振興機構(ジェトロ)の梅津哲也・海外地域戦略主幹は「ソ連崩壊後、日ロの交流や投資の盛り上がりは3度ほどあったが、今回は政府も力が入っている。企業もそれを感じており、新たな取り組みへの期待が感じられる」と指摘している。