尖閣海域:中国公船が減少 28日は接続水域進入ゼロに
毎日新聞
13 時間前
28.08.30.
沖縄県・尖閣諸島周辺海域で活動する中国公船が減少し、28日には接続水域に入った船がゼロになった。9月4、5両日に中国・杭州で開かれる主要20カ国・地域(G20)首脳会議を前に中国側が自制した可能性があり、政府は引き続き情勢を注視している。
海上保安庁によると、中国公船の挑発的な活動が始まったのは5日。接続水域に入った3隻のうち2隻が計3回、領海に侵入し、日中間の緊張が高まった。8日には過去最多の15隻が接続水域を航行し、7〜10日はいずれも10隻を超えた。領海侵入も、7日に6隻で計11回▽8日に3隻で計4回▽9日に4隻で計10回−−と活発化した。
背景には、仲裁裁判所が7月、南シナ海で中国が主張する管轄権を否定する判決を出し、日本が米国などとともに判決受け入れを迫ったことに対する中国側の反発があるとみられる。
中国公船の動きに対し、政府は中国政府に再三抗議してきた。岸田文雄外相は11日、フィリピンでドゥテルテ大統領やヤサイ外相と会談し、国際法順守を中国に求めることで一致した。
岸田氏はさらに、24日に東京で行われた日中韓外相会談に合わせて、中国の王毅外相と個別に会談し、尖閣問題の沈静化を要求。G20首脳会議の際の日中首脳会談について「東シナ海の状況が改善すれば」と注文をつけた。会談後、王氏は「事態は既に正常に戻った」と記者団に語った。
中国公船の接続水域航行回数© 毎日新聞 中国公船の接続水域航行回数
王氏の言葉を裏付けるかのように、25〜27日に接続水域を航行したのは3〜4隻で、今月初旬並みになった。領海侵入は21日を最後に行われていない。
24日の日中韓外相会談直前に北朝鮮が日本海に向けて潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)とみられるミサイル1発を発射し、3カ国外相は連携を確認。G20首脳会議の成功に向けて協力することでも一致した。政府関係者は「中国が議長を務めるG20に向け、事態収拾を図っているのではないか」と指摘する。
ただ、今後もこうした状態が続く保証はない。外務省幹部は「数が減ったのは事実だが、領海侵入は一隻も認めないのが日本の立場だ」と強調。今月下旬に接続水域の航行が減ったことに関しては「水や燃料の補給、台風の到来など政治と関係ない物理的な原因もあり得る」と見る向きもある。【田所柳子】