TICAD】中国が日本のアフリカ進出を警戒 資源安や地元の反感などで拡大戦略も曲がり角に…
産経新聞
15 時間前
28.08.29.
【北京=西見由章】アフリカに強い影響力を持つ中国は、日本主導の第6回アフリカ開発会議(TICADVI)への警戒感をあらわにしている。国営新華社通信は28日、「日本は経済や政治の“雑念”と海外への軍事拡張の野心を隠せない」などと批判的な論評を配信。背景には中国のアフリカ戦略が多くの試練に直面する現実がありそうだ。
新華社は、日本がアフリカ諸国の支持を得て「政治大国」のイメージをつくりだし、「(国連安全保障理事会)常任理事国入りのために人心を籠絡しようとしている」との専門家の見方を伝えた。リスク回避のための原油輸入ルートの多様化や、自衛隊が海外進出するためにアフリカを利用する可能性まで指摘した。
中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報も専門家の寄稿で、TICADは中国が3年おきに実施している中国アフリカ協力フォーラムを“学習”していると主張し、「中国への対抗と発言権の掌握が目的ならば不愉快だ」と牽制(けんせい)した。
中国とアフリカの貿易総額は2000年の100億ドルから14年は2220億ドルに増加。中国はアフリカの最大の貿易国だ。中国の習近平国家主席は昨年12月、南アフリカで開かれた同フォーラムで、今後3年間にインフラ整備などに600億ドル(約6兆円)を拠出すると発表。中国企業はケニアの首都ナイロビと南東部を結ぶ鉄道の建設を受注し、総工費の9割は中国輸出入銀行が特別融資する。
ただ中国のアフリカ戦略は曲がり角を迎えている。巨額の支援と引き換えに資源確保を図っていた段階から、インフラや工業製品の輸出先へとシフトする中、中国経済の減速で資源価格が下落しアフリカ諸国の景気は低迷。中国企業の低賃金や中国人労働者の流入への不満も高まっている。