熊野・赤木城跡:石垣にマニア注目 観光客、16倍増
毎日新聞
2 時間前
28.08.01.
三重県熊野市紀和町赤木の国史跡・赤木城跡を昨年訪れた観光客が3万3078人と前年(2040人)の16倍に増えた。市観光スポーツ交流課は「城跡に残る古い形式の石垣がマニアに人気が高く、ネットなどで紹介されている。増加は続きそう」と話している。
赤木城は標高約230メートルにある戦国期の平山城で、熊野方面と奈良方面を結ぶ主要道「北山街道」沿いにある。築城の名手と呼ばれる藤堂高虎が青年期に建て、中世から近世に移る城の特徴をよく残していることから1989年、国史跡となった。
太閤検地や大坂冬の陣の際に在地勢力の山伏や地侍が中心となって起こした北山一揆を鎮圧する拠点となり、野面乱層積みの石垣や防御に優れた升形の虎口をよく残している。昨年はテレビの城跡番組で放送されたり、城跡が霧の中に浮かぶ春や秋の写真が新聞で紹介されたりした。
野面乱層積みの石垣が残る赤木城跡を訪れる観光客=三重県熊野市紀和町赤木で、汐崎信之撮影© 毎日新聞 野面乱層積みの石垣が残る赤木城跡を訪れる観光客=三重県熊野市紀和町赤木で、汐崎信之撮影
この影響で4月の7524人を最多に、観光客でにぎわった。これまでは町内の湯ノ口温泉や入鹿温泉の湯治客が、国内最大級の棚田の丸山千枚田を訪れた際に一部、赤木城跡も訪れていたが、城ファンの来場が増えたうえ、近隣の県道が改良されて大型バスが入れるようになり、土日の観光客が増えている。
熊野市文化財専門委委員長の三石学さんは、赤木城は高虎が材木奉行として熊野地方の木材を大阪や京都に送った拠点だったことも挙げ、「赤木城跡からは戦国期のさまざまなストーリーを感じられる」と魅力を語った。【汐崎信之】