1327年も!? 借入金の返済にかかる期間 中国鉄鋼業界の苦難
サーチナ
モーニングスター株式会社
1日前
27.12.14.
中国鉄鋼業界の銀行からの借入金の総額は約1兆3000億元(約24兆7600億円)に達する。一部の分析では、現在の中国鉄鋼業界の利益ベースで計算すれば、借入金を全額返済するのに1327年もかかるという。(イメージ写真提供:123RF)© Searchina 提供
中国鉄鋼業界の銀行からの借入金の総額は約1兆3000億元(約24兆7600億円)に達する。一部の分析では、現在の中国鉄鋼業界の利益ベースで計算すれば、借入金を全額返済するのに1327年もかかるという。
とてつもない額の債務を抱え込んだ中国の鉄鋼業界だが、生産能力の過剰という問題のほか、製品価格の下落などによって非常に苦しい立場に追い込まれている。中国メディアの騰訊は中国鉄鋼業が直面している厳しい逆風について伝えている。
中国鋼鉄工業協会の統計によれば、一定規模以上の鉄鋼メーカー101社のうち48社が赤字となり、2015年1-10月における赤字総額は720億元(約1兆3800億円)だった。生産能力の過剰に加えて、不動産の過剰在庫や造船業界の需要激減などの要因によって鉄鋼需要も減少、鉄鋼業全体の業績が悪化している。
とにかく中国の鉄鋼市場は需要不足であり、中国国内では各鉄鋼メーカーが原材料である鉄鉱石を投げ売りして何とかキャッシュを確保しようと躍起になるケースが増えてきている。記事は、「ただ生き残るために必死で、鉄鉱石の売値の高低はどうでも良い」という河北省の鉄鋼メーカーの関係者の話を紹介。こうした話は中国鉄鋼業界が置かれた状況を如実に表していると言える。
こうした状況は簡単には解決しそうにない。不動産業界では各ディベロッパーが不動産在庫の消化を待っている状態であり、新築による需要増にはまだ期待できない。造船についてもばら積み船の世界的な需要不足から、中国造船業界も不振に直面している。HSBCのアナリストは「中国の鉄鋼業界の就業人数はとてつもなく多いため、リストラしようものなら社会全体に動揺が生じる」と分析しており、人員整理による経営改善も簡単にはできない状況だ。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)