中国:軍元幹部の不正 過去最高の4000億円以上か
毎日新聞
27.08.11.
9 時間前
【北京・石原聖】中国国営新華社通信によると、中国軍の軍事法院(裁判所)は10日、贈収賄や公金横領、職権乱用などの罪で起訴された人民解放軍総後勤部の元副部長、谷俊山被告(58)に対し、執行猶予2年付きの死刑判決を言い渡した。中国誌・財経によると、谷被告は200億元(約4000億円)以上の不正にかかわった疑いがあり、軍高官の汚職額としては過去最高額とみられる。
判決は、谷被告の全財産を没収、中将の階級も剥奪処分とした。2年間問題なく服役すれば無期懲役に減刑される。習近平指導部はこれまで「聖域」とされてきた軍首脳の徐才厚・前中央軍事委員会副主席(3月に病死、不起訴)と郭伯雄・前中央軍事委員会副主席(7月に党籍剥奪と刑事責任追及が決定)を相次いで摘発し、軍内の汚職摘発を進めている。
谷被告は2012年2月に解任され、捜査機関が14年1月に河南省濮陽市の自宅を捜索した際、純金の毛沢東像などトラック4台分が押収された。谷被告の摘発は軍での腐敗摘発の始まりと位置づけられている。
中国国防省は公式ホームページで判決理由について「収賄、公金横領の金額が巨大であり、贈賄による職権乱用が深刻であるため」と説明。その上で執行猶予付きとしたのは「谷被告が他人の犯罪行為を明らかにし、調査で事実と確認されるという重大な功績を考慮した」とした。
中国メディアによると、谷被告は徐、郭両氏に自身の昇進の見返りに多額の賄賂を贈ったとされており、谷被告に死刑判決が下されたことで、郭前副主席にも重い判決が出ると予想される。徐、郭の両氏とも江沢民元国家主席の後押しで軍首脳に抜てきされたとされる制服組トップ。その2人に賄賂を贈ったとされる谷被告の重罰は、軍内に多く残るといわれる江派切り崩しの足がかりになるとみられている。