米軍:旧ソ連圏に重火器…事前配備検討 冷戦後初めて
毎日新聞
27.06.16.
【ワシントン和田浩明】米国防総省のウォレン報道部長は15日、記者団に、米軍が欧州の北大西洋条約機構(NATO)加盟国に事前に配備しておく軍事装備の増強を検討中だと明らかにした。米ニューヨーク・タイムズ紙によると、ウクライナ南部クリミアを一方的に編入するなどしたロシアを念頭においた措置。戦車や装甲車、自走砲など計1200台を含む米兵5000人分の配備を計画しているとされる。
バルト3国やポーランド、ルーマニアなどかつてソ連の影響圏内だったNATO諸国に米軍重火器が配備されるのは、東西冷戦終結後初めてだという。
アーネスト米大統領報道官は同日の定例会見で、NATOの集団防衛条項に基づく対応であり「同盟国の領土が適切に防衛されるようにするためだ」と説明した。
ウォレン氏によると、米軍は2〜3年前から欧州へ大隊規模の装備の事前配備を開始した。「訓練や演習のための効率やコストを考えた措置」で、今年3月に2組目の大隊装備を配置。現在、3組目の導入を検討中だという。実現すれば全体として旅団(5000人前後)規模の装備になる。具体的配備国には言及しなかった。
アーネスト氏は事前配備について、昨年9月に英ウェールズで開催されたNATO首脳会議で合意された共同防衛強化策の一環だと説明した。