「脱出していいか?」一度も応答なし…乗組員、教師、生徒ら「生と死」緊迫の証言
2014.4.23 00:39 (3/3ページ)[韓国]
旅客船「セウォル号」沈没事故で、船内から収容された遺体を運ぶ救助隊員=22日、韓国・珍島(共同)
逃げるにも60度以上に傾き、女子生徒の一人は父親に「傾きすぎて出られない」と携帯電話で送信。救助されたクォン・ジヨンちゃん(5)を抱いて甲板に連れ出した男性乗客(59)は「20メートルほどよじ登った」と振り返った。
セウォル号と管制の交信は38分を最後に途絶えている。船長らが脱出に移ったことが分かる。50分には、船長ら乗員10人が海洋警察第1陣のボートに助けられたことが確認されている。対照的にナム教諭ら高校教師の大半とパクさんらは最後までとどまり、遺体で発見された。
高校生のチョン・チャウン君(17)は船内で混乱する仲間を励まし、自分の救命胴衣は友人に譲った。自らは逃げ遅れ、遺体で発見された。KBSテレビは「真の勇気と犠牲の意味を世界に教えた」と伝えた。最初に通報した生徒も行方不明のままだ。
セウォル号は、生と死が交錯した過酷な現場だった。今後は、残された生存者の「心のケア」が大きな課題となる。