中国7.7%成長、「途上国型」から抜け出せず リスク抱え「安定飛行」
2014.1.20 21:49 [海外経済]
【上海=河崎真澄】中国国家統計局の馬建堂局長は20日の記者会見で、「中国経済は安定的に好ましい発展形態に向かっている」と強調した。やみくもな高成長と決別し、上昇スピードを徐々に緩めながら安定飛行に移るとの“シナリオ通り”の展開に満足げだ。
名目の国内総生産(GDP)で2010年に日本を追い抜いて世界2位の経済大国となった中国。13年の名目GDPは56兆8845億元(約978兆円)と、現在の為替レート換算で日本のGDPの約2倍に達する見通しだ。年率6%を下回らない中速度の成長でも20年前後には米国を追い抜いて世界一になる計算だ。
ただ、成長率は安定したものの「必ずしも健全な成長とはいいがたい」(丸紅経済研究所シニアエコノミストの鈴木貴元氏)との指摘がある。日米欧など先進国型の安定成長に欠かせない個人消費よりも、公共投資や不動産価格の上昇といった途上国型の体質から抜け出せずにいるからだ。
馬局長は会見で、13年のGDPに対する最終消費の寄与度は50%だったと述べたが、前年の51.8%からはむしろ後退した。一方で資本形成(投資)の寄与度は前年を上回った。景気の失速懸念で昨年夏から、鉄道建設など公共投資を再び加速させたことが背後にある。
公共投資が加速して資金需要が続くことで、銀行の簿外融資などグレーな「影の銀行(シャドーバンキング)」問題は残され、不動産市況も上昇傾向が続くため、バブル崩壊リスクはいつになっても消えない。大気汚染など環境問題も成長の足かせとなっている。
キヤノングローバル戦略研究所の瀬口清之研究主幹は、「権力をほぼ完全に掌握した習近平指導部が、いかに国内の抵抗勢力を排して経済構造改革を進めるかがカギ」と話している。
関連ニュース
債務500兆円超で「成長は大幅に減速」 中国経済の足引っ張る地方政府
中国、成長率目標引き下げるか 安定成長へ「経済工作会議」開幕
【日曜経済講座】破綻した中国の経済成長モデル 編集委員・田村秀男
【国際政治経済学入門】汚職腐敗で行き詰まった中国の成長モデル