五輪招致関係者、影響懸念「最悪のタイミング」…女子柔道暴力告発問題
スポーツ報知1月31日(木)8時2分
ロンドン五輪代表を含む柔道女子選手15人らが、女子代表の園田隆二監督(39)から暴力を受けたなどと強化指導陣を集団告発した問題で、現場を目撃した複数の関係者が30日、生々しい暴行の実態をスポーツ報知に証言した。「死ね」「ブタ」など常軌を逸した暴言を受けるなど、日の丸を背負う選手がショッキングな扱いを受けていたことが判明した。
マドリード、イスタンブールと争う2020年東京五輪招致の活動が活発化する中で起こった柔道界の不祥事について、関係者からは招致への影響を懸念する声が上がった。東京招致委員会関係者は30日、「佳境を迎えた時期にタイミングが最悪」と不安の色を浮かべた。
折しもこの日、東京招致委が今月10〜20日に都内で行った支持率の調査結果を発表。16年の招致に敗れて以降、支持率の低さが問題視されていた中で、都民の支持率が73%と初めて7割を突破した。国際オリンピック委員会(IOC)の支持率調査は今月から2月の間に行われる見通しで、大きな追い風となったはずだった。だが、日本のお家芸である柔道の不祥事がスポーツ界のイメージダウンにつながれば、支持率の低下は必至だ。
また、柔道界の内情が世界に打電されることで、招致の投票権を持つIOC委員の心証を害する恐れもある。日本オリンピック委員会(JOC)の橋本聖子理事は「スポーツ界で早急に対応し、五輪招致にマイナスにならないようにしないといけない」と危機感をあらわにした。
JOCの市原則之専務理事は「(招致への)影響はないと思う」としたが、大阪市立桜宮高の男子生徒自殺問題に端を発して体罰の事例が次々と明るみになっており、今後も予断を許さない状況だ。柔道界は、五輪金メダリストの内柴正人被告が泥酔した教え子の女子部員に乱暴したとして準強姦(ごうかん)罪に問われるなど、不祥事が続いており、今後の対応を誤れば、招致活動にとっても致命傷にもなりかねない。