親権はニカラグア人男性に 日本人元妻連れ去り事件で大阪高裁
2012.6.15 00:35
米国在住のニカラグア人男性(40)が、日本人の元妻(44)に長女(9)の引き渡しを求めていた家事審判で、大阪高裁(坂井満裁判長)が元妻の親権を認めた神戸家裁伊丹支部の審判を変更、さらに親権を男性から移すよう求めた元妻の申し立ても却下していたことが14日、わかった。男性の単独親権がほぼ認められることになる。却下した決定は4月27日付。
男性と元妻は米国で2002年に結婚したが、2008年に元妻が長女を連れて帰国。翌年に米国で離婚が確定し、男性が単独親権者となった。
これに対し、元妻は神戸家裁伊丹支部に親権変更を申し立て、昨年3月、同支部が親権を元妻としたが、双方が抗告。その後、米国で親権妨害罪に問われた元妻が司法取引に応じ、同年12月に長女を男性側に引き渡していた。
坂井裁判長は決定理由で、元妻が親権妨害罪で身柄を拘束された昨年4月以降、長女を直接的に監護していないなどとして、男性の単独親権を認めた米国での判断を尊重し、「親権者を元妻に変更する理由はない」とした。元妻は決定を不服として許可抗告し、最高裁で係争中。
日本が加盟に向けた動きを進めている「ハーグ条約」では、親権を決着させるため、原則としていったん元の居住国に戻すことが義務づけられており、男性は「ハーグ条約に加盟していれば、元妻も拘束されることもなかったはずだ」と話している。