IMFトップが失言 ギリシャ人を「税金逃れの人々」 個人サイト炎上で釈明も
2012.5.30 21:15 [国際会議・機関]
国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事(ロイター)
【ワシントン=柿内公輔】ギリシャ人を「税金逃れをする人々」と指摘した国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事の発言が物議を醸している。ギリシャ国民の猛反発でラガルド氏の個人サイトは“炎上”し、ユーロ残留がかかる同国の再選挙を控えて欧州各国も眉をひそめている。
発言は25日付の英紙ガーディアンのインタビューで、「アテネといえば常に税金逃れをしようとする人が思い浮かぶ」とし、緊縮財政下のギリシャよりも「アフリカの貧しい人々の方が助けが必要だ」と主張した。
ギリシャ国民は怒りを爆発させ、交流サイト(SNS)のフェイスブックのラガルド氏のサイトには、「不当な発言」、「侮辱だ」といった書き込みが殺到。もともと歯にきぬ着せぬ発言で知られるラガルド氏だが、さすがに青くなったのか、「ギリシャ人が直面する課題には同情している」とサイトで釈明した。
IMFはギリシャ支援で重要な役割を担ってきた。それだけに、再選挙が迫るギリシャで緊縮派の政党が支持を取り戻しつつある中、「タイミングの悪い発言」(米CNNテレビ)だったのも確かだ。実際、反緊縮派政党、急進左派連合のツィプラス党首は「市民は重税を払っている」と猛反発している。
オランド仏大統領は29日、一部メディアでラガルド氏の発言を「適切ではなかった」と批判する一方、ギリシャ国民には「欧州(ユーロ残留)を選択してほしい」と呼びかけた。