陸山会事件(上) “小沢一門”鉄の結束? 3秘書、虚偽記載を完全否定 会計処理のずさんさ露呈も
2011.12.30 07:00 (4/4ページ)[法廷から]
前田恒彦元検事への証人尋問を聞く小沢一郎民主党元代表(イラスト・井田智康)
■迂回処理に記載逃れ? “脱法的”処理も続々
元秘書3人で計6期日に及んだ証人尋問で、事務担当の石川議員、池田元秘書はいずれも小沢被告への「報告・了承」を否定。会計責任者の大久保元秘書は、「経理業務自体に関与していなかった」との主張を貫いた。
一方で、証人尋問では、“脱法的”とも言える経理処理の実態も明かされた。
一つは、旧新生党の資金がプールされている政治団体「改革フォーラム21」をめぐる処理だ。小沢被告は、同団体から政党支部「民主党岩手県第4区総支部」を介して3億7千万円を陸山会に移したとして、政治資金規正法違反罪で市民団体から刑事告発を受けている。
池田元秘書は証人尋問で、小沢被告から「改革フォーラム21から陸山会に寄付ができるか」と聞かれたため、「直接では上限額があるので、他団体からであれば(可能)」と説明した、と証言。同法は政治団体間の寄付の上限を年間5千万円と定めており、小沢被告側が脱法性を認識した上で迂回処理を行っていた可能性が浮上した。
また、小沢被告の関係政治団体「誠山会」(解散)が1億円超の外貨定期預金を保有し、年末に普通預金に切り替える処理を行っていたことも判明。同法はリスクを伴う形での政治資金の運用を原則禁じているが、実際、誠山会は多額の損失を出していた。
池田元秘書は、「慣例で期末に解約するよう言われていた」として、引き継ぎに従ったとの主張をしたが、収支報告書には年末時点の定期預金残高の記載が義務づけられていることから、「記載逃れのための処理」との指摘も受けそうだ。
首をかしげたくなるような会計処理も浮き彫りとなった小沢被告の関連団体。元秘書3人の供述の変遷に加え、こうした実態を裁判所がどのように判断するのか、注目される。