定説2億年さかのぼる…サンゴの起源「5億年前」 ゲノム解読、イソギンチャクと先祖同じ
2011.7.25 08:08
海中にサンゴ礁をつくる「サンゴ」は約5億年前にイソギンチャクとの共通祖先から進化したことを、沖縄科学技術研究基盤整備機構などの研究チームがゲノム(全遺伝情報)を解読して突き止め、24日付の英科学誌ネイチャー電子版に発表した。
サンゴの起源の定説を2億年以上さかのぼった。多様な海洋生物を育むサンゴ礁の成り立ちを解明するのに役立つ成果。
チームは沖縄の海に生息するサンゴの一種「コユビミドリイシ」の産卵時に精子を採取。DNAの塩基配列を解析し、約2万4千個の遺伝子を特定した。
ほかの生物と比較したところ、イソギンチャクとの共通祖先からサンゴに進化したのは5億2千万~4億9千万年前と判明。これまでは化石の地層から約2億4千万年前と推定されていた。
サンゴは透明度が高い浅瀬に生息するため太陽の紫外線から身を守る必要がある。サンゴと共生する褐虫藻がその役目をしているとみられていたが、ゲノム解析の結果、サンゴは自ら紫外線を吸収する物質を作る遺伝子を持っていることが分かった。
研究代表者の佐藤矩行京大名誉教授(発生ゲノム科学)は「温暖化による海水温の上昇などで、サンゴが白くなる白化現象の解明にもつながる成果だ」としている。